インターバル

前回あたりから、通院が2カ月ごとになっている。
まずは、歯医者さんから預かってきた紹介状を頭頸科のお医者さんに手渡す。
実際のところ、中に何が書かれているのかは、封がされているので患者である自分にはわからないんだけれども、たぶん、抜髄する可能性があるけれども、この歯にはどのくらいの放射線が当たっているのか、という内容なのではないかと、勝手に想像する。
電子カルテから、自分の放射線治療計画の図面を見て、上の右側の歯だからこれかな、と、補助に付いているお医者さんと話をしている。そして、自分のほうを振り返って、あとで返事を書いておきます、とのことだったが、もし返事が遅くなってしまったら右上の歯は33Gy(グレイ)だとお答えください、とおっしゃっていた。
変わりはありませんか、とのことだったので、年末に風邪を引いてからのどがはれぼったい感じが継続して気になる、とお医者さんに言ってみた。
いつも通り、喉をのぞいたり、スコープで上咽頭や声帯のあたりをのぞいたりしてくれたけど、特に問題はないらしい。
後は、転移のあったリンパのあたりを中心に、首をていねいになでたりもんだりして診察は終了。
次回は、3月で、造影剤を使ってCTを撮りましょう、ということになった。
これは、また、血だらけ、じゃないけど、刺し跡だらけになる予感。
もっとひんぱんにCTとか撮るのかと思っていたけど、よく考えてみれば、CT検査も一年ぶりだったりする。
何もないとは思うけど、やっぱり、何もないといいな、と祈るような心境ではある。

その後、放射線科のお医者さんともお話しして、こちらは、味覚障害の話。
普通にはほとんど甘味も問題ないレベルまで回復したと思うけど、やっぱり、りんご果汁のようなものは、瞬間甘くてもすぐに甘さを感じなくなってしまうような気がする、と話した。これは味覚神経の問題というよりも、唾液の分泌が少なくて洗い流されないから、ということのほうが大きいような気はする。
でも、以前は、水のPETボトルが手放せなかったけれども、今は、わりと忘れてしまうことも多くて、口腔内の乾きもよっぱどましになってきてるんだな、と思う。

甲状腺ホルモン剤

こっちにも来てくださいね、と言われているので、翌日には、地元の病院へ。
放射線治療を受けて退院するときに、地元の病院に対して紹介状を書いてもらって、必要な薬の処方はこちらで受けることにしていたので、今回の甲状腺ホルモン剤も、検査結果を携えて行って処方をお願いすることにした。
自分の持って行った検査結果を見ながら、お医者さんは、急に甲状腺ホルモンの値が低くなるのも不思議だ、とおっしゃるので、甲状腺ホルモンの値を検査したのは、放射線治療後、これが初めてだったので、とは言ったものの、もしかしたら、自分が放射線治療を受けたことは忘れられている?
まあ、お医者さんもいろいろお忙しいし、主治医が他にもいる自分のような患者は、なかなかなかなか難しいんだろうし。
そんなこんなで、まずは1週間分、処方をしてもらって、1週間後にもう一度診察を受けることになった。

この病院は院内処方なので、病院の窓口で薬をもらって帰って、さっそく甲状腺ホルモン剤を飲んでみた。もちろんそんなにすぐには劇的に効果が出るものではないとは思うけど、なんとなく元気になったような気がするのは、我ながら笑える。

甲状腺ホルモン

今回の通院は、腫瘍マーカーの検査のために血液検査あり。
例によって、朝早く受付をして、まずは診察。
喉をのぞいてから、首の触診、スコープで咽頭を見て、いつもならこれで無罪放免になるところが、今回は、さらに採血とその結果待ち。

なんだか、最近、ますます採血しにくくなっているみたいで、採血担当の方がかなり念入りに静脈の位置を探ってくれていたみたいだけど、それでもちょっと痛かったので、これはきっと内出血してしまったな。

採血後、しばらく待っていると、また診察室に呼ばれて、お医者さんから、甲状腺ホルモンの値が低いようなので甲状腺ホルモン剤を飲んだほうがよいだろう、とのこと。検査数値は甲状腺ホルモンの値が低くて、それに対して、視床下部から出る甲状腺刺激ホルモンの値が高い状態で、甲状腺の機能が低下していることを表しているらしい。
放射線を当てたので、甲状腺の機能が低下するのはやむを得ない、とのこと。
お医者さんには、甲状腺ホルモンが低下すると倦怠感があったりするので、だるさを感じていたのではないか、と尋ねられたけれども、しょっちゅう眠いのもそのせいなんだろうか。ついつい夜更かしをしてしまうので、そのせいだとばっかり思っていたけれども。

だるさを感じていたのでは?と言われると、急に倦怠感を感じ始めるのが我ながらちょっとおかしい。
ちょうど、明日、近くの病院に行くことになっているので、甲状腺ホルモン剤の処方はそちらでしてもらうことにした。

甲状腺という名前は知っていても、甲状腺ホルモンの働きなど、意識したことがなかったので、かなり意外な話だった。
ネットで調べてみると、基礎代謝量を左右しているホルモンらしい。

その後、二ヶ月ぶりに、放射線科のお医者さんの診察もあった。
味覚のうち、甘味に関しては、定期的に飲んでみているりんごジュースの味もほぼ記憶通りにものになっているけれども、すぐに甘味を感じなくなってしまう。しばらく時間をおいたり、水を口に含んで味覚をリセットしたりすれば、また甘味を感じるというようなことをお話しした。
血液検査で、甲状腺ホルモンの値が低かったこともお話ししたが、お医者さんは、放射線を当てたので仕方ない、との反応だった。甲状腺の働きに関しては、どうやら、はかばかしく回復することは望めないようで、甲状腺ホルモン剤は、ずっと飲み続けなければいけないようだ。

退院してからちょうど1年になるので、次回からは、2カ月間隔での診察ということになった。

腫瘍マーカー

月例の診察。
先月は、放射線科のお医者さんは不在の日だったので頭頸科の診察だけだったけど、もしかして今日は放射線科の診察も予約が入っていたりするんだろうか?と思っていたが、さすがにそんなことはなくて、今日も頭頸科の診察だけだった。
いつも通り、問診に引き続いて、スコープでのどと咽頭の様子を見て、のどのリンパを触診して、唾液はかなり粘ってるみたいですけどそれ以外は問題なさそうですね、とのことだった。
実は、今日は、診察時間が予約時間からは大幅に遅れて、ほぼ2時間ほど待っていたんだけど、たぶん問題ないということになるよな、と思っていたので、診察の開始が遅れても気が楽、というか、お忙しい先生だから仕方ないよな、と携帯でネットニュースなどを拾い読みしながら待っていた。
いつもこんなに遅くなるわけではないけど、最初にセカンドオピニオンをお願いしたときも同じくらい待たされたことがあって、その時は、もっとじりじりした思いで待っていたような気がする。
状況によって、こんなに変わるなんて、自分も身勝手だな、という気がして、思わず苦笑してしまった。
ところで、以前の放射線科のお医者さんの話では、頭頸科の予約が入ったら、それを見て予約を入れておきますから、とのことだったけど、まあ、いくらなんでもそんなヒマなことはできない相談だったようだ。
ということで、診察が終わって来月の予約ということになったときに、来月は放射線科のお医者さんの予約も入れてもらえるようにお願いしてみた。
外来の看護師の方が、ちょっと難しそうな顔をしていたけど、いろんなところに電話をかけて、ちゃんと来月の診察予約は取ってくれた。これまで知らなかったけど、どうやら水曜日というのは放射線科のお医者さんは外来診察の日ではないみたいで、電話をかけている看護師の方の口ぶりでは、外来診察の日ではないけどいいですよ、という感じで放射線科のお医者さんが返事をしてくれているようだった。
先月の頭頸科のお医者さんの口ぶりでは、来月にCTを撮りましょうか、ということだったけど、もう1ヶ月開けて、3月の診察の時にCTも、ということになった。
その時に、3月だと退院してから6カ月になるので、という話になって、じゃあ、今日、採血していってください、との話があった。
6カ月と採血がどう結びつくのかわからないけれども、お医者さんの口から、腫瘍マーカーも検査しておきます、との言葉があった。実は、この病院に入院してから、腫瘍マーカーという言葉を聞いたのはこれが初めてで、意外だったので、お、と思った。
今日の診療明細書を見ると、SEAとSCCの検査が行われるようだ。結果については、来月、教えてくれるらしいので、腫瘍マーカーをどのように考えられているのか尋ねてみよう。

角を丸める

頭頸科のお医者さんに、舌の側面の口内炎は、歯医者さんで相談するように言われたので、さっそく予約した近所の歯医者さん。
状況を説明すると、奥歯の冠を触ってみて、あー、なるほど、これはちょっととがってるかな、この間はこれには気づかなかったな、とのことで、さっそく、エアタービンで削って研磨してくれた。
舌で触ってみると、明らかにこれまでとは違う感触。
これならば大丈夫だろう。
お正月までには舌の口内炎が治るかもしれない。

ただ、気になったのは、久しぶりにエアタービンで削られたけど、タービンが回っているときの独特の甲高い音がほとんど聞こえない。
歯石や歯垢を掃除するときの超音波スケーリングの音もほとんど聞こえなくなっていたし、放射線治療を受けてから、耳鳴りが少しひどくなったような気がするのは、気のせいではなかったのかもしれない。
放射線治療のせいではなくて、単に加齢のせいかもしれないけど、ちょっとため息をつきながら歯医者さんを後にした。

飲み込みにくい感じ

今日は、月例の診察。

どうですか、と頭頸科のお医者さんに尋ねられたので、ここしばらく気になっている、のどの奥のはれぼったさと、舌の側面にできた口内炎について、お話しする。

お医者さんは、舌の口内炎については、少し心配そうな表情を見せながら、口の中をのぞいて見て、これはたぶん虫歯を補填した冠が当たっているのだろう、とのこと。
特に悪いものではないので、歯医者さんに行って相談するように、と言われる。
そう言われれば、先々月、歯医者さんでかみ合わせの補正をしてもらったときに、左側の歯を少しだけ削ってくれたけど、それ以来、舌に口内炎ができているような気もする。

次に、いつものように、のどをスコープで見て、ここが腫れてますよね、放射線の影響です、とのこと。
スコープで取った画像をプリントアウトしてくれたので、後で見直してみると、確かに、喉頭蓋と呼ばれている部分が腫れている。
このせいで、のどが腫れた感じだったり、飲み込みにくかったりするんだろう。
放射線治療が終わって退院してから、2カ月くらいたってからのどが腫れたような感じが強まって、3カ月たった今も、同じくらい腫れているような感じがする。
放射線の影響なら、徐々に収まっていくんだろうけど、まだしばらくは、食事の時などに気をつけていなければならないようだ。

舌の口内炎については、さっそく歯医者さんに電話して、月曜日に見てもらうことになった。

甘味を感じなくなってから、診察のタイミングで、診察とは関係なく、定点観測的にりんごジュースを飲んでいるが、今回は甘味も含めてほぼりんごジュースの味がするようになっていた。
放射線治療が終わってから、約4カ月。
味覚がなくなるくらいダメージが大きい治療だけれども、それでもなんとか回復するというのは、やっぱり人間の身体って、よくできているんだな、と思わせられる。
でも、よくできていても、その仕組みをすり抜けてがんが大きくなってしまう場合もあるわけで、それも含めて人間の身体はよくできていると考えるべきなんだろうか。

STOP! ガンのつらさ

朝日新聞を読んでいたら、塩野義製薬のサイトに「ガンのつらさ」というのがある、とのことだったので、さっそくのぞいてみた。
「STOP!ガンのつらさ」というコンテンツは本当にその通りだと思う。
がんの治療は、悪性新生物としてのがん細胞を何とかすることだけではなくて、がん細胞を原因として起きる痛みを含む不快な症状を和らげたり、治療の過程で発生する痛みを含む不快な症状を和らげることも、当然含まれると思う。
だから、痛ければ、痛くなくなるまで、痛い、と言い続けることは大切なことだろう。

自分自身は、幸い、放射線治療の間、のどの痛みもアセトアミノフェンのような一般的な痛み止めの薬を飲むか飲まないかくらいのレベルだったので、医療用麻薬は使わなかったけれども、同時期に隣のベッドで治療を受けていた方は、医療用麻薬を使ってのどの痛みを回避していた。
また、入院中は、毎週、痛みを含めて、体調や精神的な面のつらさに関するアンケート(というか、アセスメント)が実施されていて、看護師の方も、しょっちゅう、のどの痛みがひどくなっていないか、本当にしつこいくらいに確認していた。
自分の場合は、胃瘻が痛む場面が多かったので、どちらかというとそれに関して愚痴をこぼすことが多かったけれども。

唾液とリンパ

しばらくの間、蟄居していたが、そろそろなんとか出かけても大丈夫そうに思えてきたので、5日ほど仕事で旅行に出た。
家で療養している時と比べて、水分補給なども制限があるので、どうしても口が渇いた状態で我慢してしまうことが多かった。
できるだけペットボトルの水を片手に持っているようにはしたが、思うに任せないときもあるし、ホテルの部屋は乾燥しているので、就寝中の口の渇きも激しくて、いくぶん治りかけているようだった舌の表面がまた荒れてしまって、少しぴりぴり痛い。
治りきっていない、というのもあるだろうけれども、以前と同じように、多少の無理、というのもしてはいけないんだな、と実感。

さらに、首の腫瘤を摘出した手術跡が、最近、むくみがちで、傷跡周辺や首のマッサージを心がけているけれども、気がつくと傷跡から上の部分がむくんでいることが多い。
手術は、耳の真下から垂直に下りて、首のしわに沿ってあごの真下まで切り開かれているので、特に、傷跡の耳の下側のところでむくむようだ。
放射線治療で入院していた時期には、もう傷跡の腫れはほとんど引いていたけれども、あまりむくみを気にしたことはなかったのに、今になってむくみが気になるようになってきたのは、それだけ身体の活動が活発になってきた、ということだろうか。
実際のところはどうなのかよくわからないけれども、少しでも良い方向に解釈しておくことにしよう。

追加の処方

退院してからずっと利用していた半夏寫心湯がなくなったので、地元の病院のお医者さんの予約を取って、処方をお願いすることにした。
果たして、この漢方薬でうがいしているから、よりはかばかしく治りつつあるのかどうかはわからないが、効くと思っていること自体が大切なことだとは思うので。
今日の診察は、がんの告知をしてくれた、一番若い先生だった。
以前勧めてもらった半夏寫心湯がなくなったので処方して欲しい旨お話しすると、どのくらいの頻度で使用しているのか尋ねて、一ヶ月分を処方してくれた。
また、喉の様子をのぞいてみて、口腔内の乾燥度合いも尋ねてくれて、必要なら口腔保湿剤も処方できるので、と教えてくれた。
とりえあず次回の予約はせずに、一ヶ月後をめどに、また予約を取って診せに来てください、ということになった。
味覚に関しては、かなり回復してきた気はするが、甘味の感覚の回復が鈍くて、舌先でほんのり感じることもあるような気がするが、すぐに、感覚が麻痺してしまうような感じ。
放射線治療に伴って、甘味の感覚が一番最初にだめになったような気がするけれども、回復も一番最後になるのかもしれない。

何とか食べられるご飯まとめ

最近、やっと、塩味と酸味の感覚がもどってきたようだが、甘味がまだ弱いので、オムレツのようなものを作ってトマトケチャップをかけても、いまいちファーストフード的なおいしさがない。
また、トマト類は、まだ完全には治りきっていないかもしれない喉にしみたりもする。

ただ、退院当初に比べれば、かなり食事も楽になってきている。
そこで、忘れないうちに、退院当初の、

  • 唾液が出ていなくて、
  • 味がわからない、

という状態で食べていた食事をまとめてみた。

まず、唾液が少ない状態をなんとかしないと、ご飯やパンを飲み込むことが出来ない。
ある程度唾液が出ている状態なら、お粥(全粥)という手段もあるが、もっと唾液が出ない状態(たとえば、自分の場合は、放射線科のお医者さんのシミュレーションに依れば、放射線治療前の30%程度しか唾液が出ていない状態)だと、全粥すらねばねばして飲み込むのが難しかった。
五分粥など、もっと水分量を増やした粥にすると、今度は、せっかく食べてもカロリーが低すぎて、1日に必要なカロリーを食事で摂取することが困難で、結果的に体力を落としてしまうことになる。
結局、自分は、入院中、ある程度唾液が出なくなってからは、カロリーのことを考えて、全粥ではなく、普通のご飯に味噌汁や白湯をかけて、お茶漬けのような状態でご飯を食べていた。

退院して、自宅で療養を開始した時には、喉も痛いし、味覚もまったくなく、何を食べても、それこそ水を飲んでも塩辛くしか感じないような状態で、かつ、絶えず水を口に含んでいないと喉がからからに渇いてしまうくらい唾液が出ていない状態だった。

その状態で、カロリーを確保しつつ、タンパク質やビタミン類、食物繊維なども確保するために食べていたのは、味をつける前に取り置いてもらったおかずと、卵かけご飯だった。
卵かけご飯は、お茶漬けほどシャバシャバしていないので、水分でお腹が張る、というようなこともなく、かつ、米粒そのものは卵のおかげでけっこうすんなりと飲み込むことができて、かつ、タンパク質も十分取ることができる、という優れもの。
さすがに毎食味がないままの卵かけご飯を食べていると飽きが来るので、少し大きめのお茶碗一杯分の卵かけご飯のうち、最初はそのままで、味に飽きてきたら、刻み海苔をかけて、香りに変化をつけて食べるようにしていた。

退院後2週間から3週間ほどたつと、何を食べても塩辛い状態は改善されてくるので、おかずは家族とほぼ同じものを食べられるようになった。
ただし、のどにしみるトマト系の味付けやコショウなどの香辛料を使う場合は、それよりも前に取り置いてもらっていた。
ご飯は、食べやすい卵かけご飯。