低血圧

基本的にごろごろしているせいか、ここのところ、朝の血圧が100未満になることも多い。
さすがにちょっと気になるので、今朝、腫瘍内科のお医者さんに尋ねてみたら、そんなに気にすることないですよ、高いのに比べれば、とかなり明るくおっしゃっていた。
このお医者さんは、わりと若いお医者さんだけど、基本的にいつも明るいというかあっけらかんとしているというか、どちらかというと心配性の自分とは逆のフェーズに位置している感じ。
自分がちょっと気になることを話して、気にすることないですよ的な言葉を言ってもらうとそれだけで、なるほど大丈夫なんだ、という気分になれるので、お話しできるのを楽しみにしているお医者さんの一人ではある。

今朝は頭頸科のお医者さんの診察もあり、扁桃腺の見た目も、首の腫瘤の部分を触った感じも、問題はないだろうとのことだった。
がんは、根治したかどうかは、5年経ってみないとわからないので、経過を見るしかないんだろうけど、それでも、もう少し何か手を打たないといけないですね、とお医者さんに言われるよりははるかにうれしいかもしれない。

今日の食事

同伴診察

今日は、妻と一緒に転院先の病院へ。

病院そのものや自分を担当してくれるお医者さんを実際に見てもらい、かつ、治療の概要を説明してもらったりそれに対する疑問への回答をもらうために、担当してくれることになっているお医者さんにお願いして時間を取ってもらった。
セカンドオピニオンから始まって、前回の診察も自分一人で病院に行ったので、妻は、いったいどんなところで治療を受けようとしているんだろう、と不安に思っていたようだったが、実際に病院の施設を見たり、お医者さんと話をして、これなら治療をお願いしても大丈夫そうだ、と思ったようだ。

基本的には、自分が納得して治療を受けるのが一番大切だとは思うけれども、家族など自分の近くにいてくれる人が、それを理解してくれているのもそれに劣らず大切だと思う。
妻に説明するための時間を、多忙なお医者さんに、わざわざ取ってもらって申し訳ない気もしたが、治療の一環と考えれば、十分に意味のあることだとは思う。

妻が、自分も働いているので、治療中に夫に付き添うことはむつかしいのだが、と言うと、放射線科のお医者さんは、中咽頭がんの方をたくさん診て、このような放射線治療はルーチンと言えるくらい実施しているが、この放射線治療ですぐにどうこうなるというようなことはないので、付き添わなくても大丈夫、と言い切っていたのが印象的だった。

いろいろな情報も教えてもらっているけれども、やはり、自分の治療をどうするか、というときに、お医者さんの印象というのは大きい要素を占めるのかもしれない、と思う。
ただ、実際に入院すると、本当は、病棟の看護師の方の印象のほうがより大きいことに気づいたりはするんだけれども。

妻が気にしていた分子標的薬を使った治療についても、放射線治療を担当するお医者さんは、分子標的薬は、一時期、試してみていたが、あまり治療成績が良くない場合が多かったので、今は、シスプラチンを使うようにしている、
とおっしゃっていた。
妻も、お医者さんの説明に納得してくれたようだった。

これについては、これらの記事が参考になるかもしれない。
(2015/11/04追記:ネット上に、いくつか、参考になりそうな記事があったが、サイトが閉鎖されたり、loginが必要になったりしているので、リンク情報は削除した。)
後者の記事にあるように、腎臓が悪かったり高齢などの場合には、分子標的薬(セツキシマブ)を選択することになるのだろう。

放射線科のお医者さんは、あなたの場合には年齢的にも体格的にも、シスプラチンの標準治療をおすすめします、とのことだった。
逆に考えれば、それだけのことをしないと、今の医学では、がんの根治はむつかしい、ということなのかもしれない。

ただ、もし今回根治できたとしても、それは5年生存率の中に入ることができた、ということだけで、そこから先、再発、または、別のところに原発がんができる可能性もあるわけだよね、と思ってしまう。
でも、心配し始めればきりがないし、それに、5年たてば、もしかしたら新しい治療法が開発されている可能性もあるわけだから、とりあえず、今回の扁桃腺がんの根治だけを考えるように、それ以外のことを考えるのはやめることにした。

転院先の予約

今日は、転院先の病院の予約を取っておいてもらえる予定の日だったので、今、かかっている病院の外来へ。

結果、6月12日に、セカンドオピニオンを担当してくれたお医者さんの予約が取れたということなので、予約表などのFAX(やっぱり今どきFAXとは思ってしまうけど)を一式、手渡してもらった。

ついでに、気になっていた、低分化型の解釈について、お医者さんに尋ねてみたけど、特に解釈というのはなさそうで、低分化型であるということを受けて、先方では抗がん剤の種類を変えたりはするかもしれないが、とのこと。
リンパ球の湿潤がある、ということに関しても、もともと扁桃腺はリンパ器官なので、リンパ球ががん化してるというようなことではない、とのことだった。

今の病院の若いお医者さんに、来週また来てね、とお誘いを受けたんだけど、どうやら血液検査をするらしい。
4月に腫瘍マーカーを調べたときにはあんまり上がってなくて、正常値の範囲内だったので、もう一度検査をしてみるとのこと。
これは初めて聞いた情報。
病名を告知するのなら、それと同時に、検査の数値結果なども全部教えて欲しい、と思ってしまった。
できれば、それをどう解釈するのか、まで教えてもらえると一番良いけど、さすがにそこまではむつかしいのかもしれない。
ただ、このお医者さんはまだそれほど経験を積まれているというわけではないので、そういう意味で難しかったのかもしれない。
同じ病院のお医者さんでも、他のお医者さんは組織検査の結果などを、お願いするまでもなく積極的に印刷して手渡してくれていたので。

たぶん、低分化型というのは悪い情報のような気がするけど、逆に、腫瘍マーカーが上がってなかった、というのは良い情報のような気がする。
実際には、一つ一つの事象に一喜一憂しても仕方なさそうだけど。

扁桃腺摘出手術の退院日

摘出した扁桃腺の病理検査の結果が出るだろうという日が、手術から一週間後の今日だったので、それもあって退院日をこの日に設定。

結果として、低分化型の扁平上皮がんだったとのこと。
リンパ球の浸潤も多かったらしいのだが、結局のところ、それがどういう意味を持つのか尋ねないままになってしまった。
組織検査を行ったお医者さんは別にいて、このお医者さんはがんの専門医ではないし、詳しく尋ねても仕方ない、と思ってしまったのかもしれない。
本当は、このお医者さんなりの解釈を教えてもらっておいて、ほかのお医者さんの解釈とつきあわせるという作業を行うべきだった。
「どうせ」とか「仕方ない」とか思わないようにしなければいけない、と反省。

月曜日に手術後の状況確認のために外来を受診することになっているので、その時に、ちゃんとどう解釈するのかを聞かせてもらうことにしよう。

治療に関しては、結局、セカンドオピニオンを受けた病院のうちの一つでお願いすることにしたが、病院間連携という仕組みがあって、お医者さんからお医者さんへFAXで予約を入れてくれるらしい。
いまだにFAX?と思わないでもないけど。
いずれにしても、自分で初診の予約の手続きをしなくても良いのは、ありがたいことだと思うべきなんだろう。

今日の食事(午後に退院したため、夜の食事はなし)

ガン相談センター

昨日から、退院してすぐにもかかわらず、以前から決まっていた日程があったので出張。

腫瘤摘出手術を受けた病院では、設備の関係でがんの治療ができないというのは言われていたので、次に治療を受けるべき病院をどこにするか、というのが急いで決めなければならないことになっている。
今のお医者さんからは、近くにある別の総合病院か、大学病院が選択肢として提示されていた。
どこの病院で治療を受けるにせよ、今の状況をとりまとめて、セカンドオピニオンを受けてみようとは思っていて、たまたまその病院の近くに来ていて、かつ、時間が取れることになったので、飛び込みではあるけれども、その病院のがん相談センターに立ち寄ってみることにした。

がん相談支援センターは、がん診療連携拠点病院に設けられている患者やその家族向けの相談施設で、見たところどんな相談にものってくれそうだったので、予約はしていなかったが出かけてみることにした。
受付で案内をお願いすると、当番の看護師の方が、相談室で話を聞いてくれた。
経過などを説明した後で、セカンドオピニオンを受けてみようと思うが、果たして、わざわざ遠隔地の病院に受診する価値があるのか迷う気持ちもある、また、そもそもこの病院で受け入れてくれるのか疑問もある、という話をした。
それに対して、看護師の方から、この病院を受診されるとかなり遠隔地になるので、抗がん剤治療のときには入院するとしても、放射線治療の時には通院治療になると思われるので、通ってくるのが大変だと思うが、そのあたりはどう考えているのか?と尋ねられたので、場合によっては一時的にこちらにアパートを借りるなどして暮らすことも考えている、と返事をした。
仕事の関係で、これまでも出張は多かったし、最近は、この近くで一年ほど暮らしたこともあったので、お金はかかるにしても、病院の近くで暮らすことに関しては自分では心配していなかった。

さらに、もしこの病院を受診するとして、実際のところ、この病院と他の病院でがん治療を受けるのに違いはあるのか?と尋ねてみると、看護師の方は、専門病院で治療を受けている、という患者さんの安心感というのはあるだろう、とのこと。
続けて、一般的に、中咽頭がんの場合、抗がん剤は耳鼻科のお医者さんがコントロールされると思うが、この病院の場合には、抗がん剤専門の内科のお医者さんがいてコントロールしている、との話があった。

せっかくなので、もう少し突っ込んで、現在セカンドオピニオンの候補として2カ所の病院を考えているのだが、どちらが良いか手がかりになるような情報はあるだろうか?と多少無理筋の質問なのを承知で尋ねてみた。
すると、それだけ考えておられるのなら、2つともセカンドオピニオンを受けられて、ご自身で良いと思われるほうに行かれると良いのではないか、と言ってもらって、確かに、セカンドオピニオンはいくつ受けても良いわけだし、その際に、実際に担当してもらう可能性が高いお医者さんの考え方なども確認できるわけで、自分にとっては非常に有効なやり方かもしれない。
それまで、セカンドオピニオンを複数箇所で受けるという発想は自分にはなくて、なるほど、そういう考え方もあるんだな、と、すごく新鮮な思いでその看護師の方の話しを受け止めていた。

告知

今日退院、という日の診察で、その日の担当のお医者さんに、
「病理検査の結果が出たんですが、あんまり良くなかったんですよ。」
と、摘出した腫瘤が、悪性腫瘍だったことを告げられた。
「扁平上皮がんだったいう結果が出ています。」
悪性ということもあり得るな、とは思っていたので、目の前が真っ白、みたいなショックは受けなかったが、もうちょっと劇的なというか、芝居がかったというか、そういう類の言い方をしてくれてもいいのに、と思わないでもなかったけど、お医者さんからすれば、one of them なわけだし、けっこうあっさりしたものなのかもしれない。それを聞いて、うーん、自分は、くじ運がないからなー、というようなことをぼんやり考えていた。

同じ日に、手術を担当してくれた別のお医者さんも診察してくれて、そのお医者さんも、同情的な色も見せずに、扁平上皮がんであるという事実に触れて、さらに、組織検査の結果の扁平上皮がんであるとの病理報告書を印刷して手渡してくれた。
「首にがんができるというのはほぼあり得ないので、原発巣というがんのもとになっているところからがん細胞が流れてきて、ここに腫瘍ができたと思われます。ですから、まず、その原発巣がどこなのかというのを探すことになります。よくあるのは同じ側の扁桃腺ですが。」
その後、スコープで丹念に鼻の穴から喉の奥にかけてを見た後で、その動画を再生しながら、
「どの部分にもがんのような兆候はないんですね。強いて言えば、上咽頭にすこし色が変わっているところはあるけれども。それよりは扁桃腺が右と左で大きさが違うので、やはりそれが怪しいでしょう。普通、扁桃腺は両方同じ大きさで、腫れても同じくらいの大きさになるので。」
「これから、PET/CTという機械で怪しそうなところを探して、そこを組織検査して、原発巣を確定することになります。ここにはその設備がないので、一番早く予約が取れるところで診てもらいましょう。」

とりあえず、退院するためにベッドのところで荷物を整理していると、その日、最初に診察してくれたお医者さんが、
「大学病院でPET/CTの予約が取れたので、当日はこれを持って行ってください。」
と予約書類を持ってきてくれた。

自分ががん、と診断されても、首の傷跡は別として、それ以外の体調は手術前と同様に何の問題もないので、本当に実感がない。組織検査の結果(扁平上皮がんと診断されている結果)を受け入れられない、ということではなく、がんならそれなりのことをしなくては、という気持ちはあるけれども、とにかく実感がない状態だった。

まずは情報を調べなくては、とネット検索で、そもそも「扁平上皮」ってなに?「扁平上皮がん」はどういうもの?と調べると、本当にたくさんの情報があって、これまでまったく意識してこなかったけれども、がんにかかる人って本当にたくさにいるんだな、というのを実感する。

その中で、国立がんセンターが運営しているサイト「がん情報サービス」に、
がんになったのは、決してあなたのせいではありません。
という一文を見つけて、それを読んだときに、訳もなくな涙が流れてしまった。

がんは、転移した場合でも、原発巣の細胞の性質をそのまま持つものなので、まず、原発巣を明らかにして、その部位に応じた治療をするものらしい。

妻にはどう伝えたものか悩んだが、退院した日の晩御飯の支度をしている時に、できるだけあっさりと、組織検査の結果は良くなくて、扁平上皮がんだと言われた、と告げた。
彼女には、この手術が、組織検査が一番大きな目的であることは伝えてあり、もちろん、がんと診断される可能性があることも伝えてあった。
その時に、彼女は、もし検査の結果が良くなかったとしても、きっと大丈夫よ、と根拠のない楽観さを示していたが、今回も反応はまったく同じ。
彼女曰く、結果が良くなかったのは残念だけど、きっと大丈夫よ、私の友達も乳がんで余命宣告されたけれども、もう5年以上生きてるもの、あなただって、大丈夫よ、と。

同じ日に、晩御飯の後で、子供にも伝えたが、やはりショックを受けていたようだった。

今日の食事(昼前に退院したので、朝食のみ)