STOP! ガンのつらさ

朝日新聞を読んでいたら、塩野義製薬のサイトに「ガンのつらさ」というのがある、とのことだったので、さっそくのぞいてみた。
「STOP!ガンのつらさ」というコンテンツは本当にその通りだと思う。
がんの治療は、悪性新生物としてのがん細胞を何とかすることだけではなくて、がん細胞を原因として起きる痛みを含む不快な症状を和らげたり、治療の過程で発生する痛みを含む不快な症状を和らげることも、当然含まれると思う。
だから、痛ければ、痛くなくなるまで、痛い、と言い続けることは大切なことだろう。

自分自身は、幸い、放射線治療の間、のどの痛みもアセトアミノフェンのような一般的な痛み止めの薬を飲むか飲まないかくらいのレベルだったので、医療用麻薬は使わなかったけれども、同時期に隣のベッドで治療を受けていた方は、医療用麻薬を使ってのどの痛みを回避していた。
また、入院中は、毎週、痛みを含めて、体調や精神的な面のつらさに関するアンケート(というか、アセスメント)が実施されていて、看護師の方も、しょっちゅう、のどの痛みがひどくなっていないか、本当にしつこいくらいに確認していた。
自分の場合は、胃瘻が痛む場面が多かったので、どちらかというとそれに関して愚痴をこぼすことが多かったけれども。

出戻り

めでたく退院して、病院の近くのバス停でバスを待っていると、目の前が白くなり始めて、これはまずいかも、としゃがみ込んだんだけど、気がつくと前のめりに倒れていた。
足元に荷物を置いていたので、その荷物越しに、前のめりに倒れたので、鼻をすりむいてしまい、けっこう派手な状態になっていたご様子。
たまたま通りかかった方が救急車を呼んでくれて、あえなく、救急車で退院したばかりの病院に出戻ってしまうという、非常に情けない状態に。

たまたま当直で自分の担当をしてくれていた腫瘍内科のお医者さんがいらっしゃったので、倒れたということで、もしかしたら足で出来た血栓が肺に飛んだのかもしれない、とか、倒れたときに頭を打っている可能性もある、とか、いろいろ考えて、血液検査やCT撮影などなどを行ってくれた。

結果、水分量がやや少なかったので、低血圧になり倒れたのだろう、ということで、とりえあず、経過を観察するために1日入院することに。
まだ自分のいたベッドが空いていたので、元の病棟の元のベッドに逆戻り。

鼻をすりむいてひどい状態になっていたのは、看護師の方が傷パッドのようなものを貼ってくれて、ずいぶん楽になった。
もちろん、もとの病棟に入院したので、そこらへんの看護師の方はみんな顔見知りで、どの看護師の方も、大変でしたねー、と言ってくれるんだけど、自分的には、これ以上ない情けなさだった。

低血圧

今朝は、一段と血圧が低く、なんと、上が85を記録してしまった。
自分でも驚く。
今回の入院中は、基本的に、ベッドに座るか、横になって過ごしていたので、そういうふうになってしまったのかな、とも思うけど、果たして、家に帰ってどの程度回復していくものなんだろうか。
それに伴って、喉の痛みや味覚障害も、いったいいつになれば、と思い始めてしまったりする。
まあ、でも、治るようにしか治らないので。

食事は問題なく摂れるようになり、風味を頼りに、お茶漬け形式でなんとか出された食事の8~9割を食べる。
(もちろん、味はないので、苦行であることに変わりはないけれども。)
それでも、食事に加えて、おやつなどもばくばく食べていたのに比べれば、最低限必要な熱量分の食事も摂れいていない状態なので、シャワーを浴びたときなどに自分の身体を見ると、全体に収縮した感じがする。もちろん、ほとんど運動をしないので筋肉がなくなっているのもあるが。

明日は、予定通り退院。

退院に向けて看護師の方が、退院後に服用するために処方された薬などを運んできてくれる。
現在、食事前の喉の痛み止めの薬と、便秘の薬、胃薬、うがい薬を使っているが、それだけでもちょっとした荷物になってしまう。
入院時は、着替えなどを全部ダッフルバッグに突っ込んで持ってきたのだが、最近の低血圧傾向を考えると、荷物をすべて持って帰れる自信がなくなってきた。
もともといくらかは荷物を送ろうと思っていたけれども、もうちょっと大きな段ボール箱を調達してきて、できるだけ荷物として送り、手荷物は最小限にしたほうが良いかもしれない。

今日の食事

予定終了

シスプラチンの後始末のための点滴も昨日で終わって、今回予定されていた治療はすべて終わったことになる。
2Lもの輸液を点滴したが、体重が増えているということもなかったので、今朝は、利尿剤の点滴もなく、そのまま留置してあった点滴の針を抜いてもらって、晴れてチューブフリーとなった。

いろいろな意味で気持ちに余裕が出てきたので、これまでの記事を整理したり、掲示できていない部分を付け足していったりしていていると、見聞きした中で書いていなかったことがあったので付け足しておく。

一番最初、自分が放射線治療と化学療法を併用するとしたら、分子標的薬(セツキシマブ)を選択することが出来ないのか、と放射線科のお医者さんに尋ねたときに、今の第一選択肢はシスプラチンで、腎臓に問題がある人には分子標的薬を適用している、とのことだった。
一時期、よく放射線治療で前後の順番になって顔見知りになり、時々お話をしていた方が、アービタックス(=セツキシマブ)を使っている、とのことだった。
腎臓の数値にやや問題があるので、分子標的薬を適用されたらしいが、一週間に一回の点滴で、湿疹なども出来てそれなりに苦労はある、とのことだった。
最近見たテレビのがん関係の番組では、分子標的薬は、シスプラチンに比べるとはるかに副作用は少ないとされていたが、実際のところ、シスプラチンの最大の副作用とされている吐き気は、吐き気止めの薬でほとんど抑えられるようになっているので、首のまわりに湿疹が出来ているその人の姿を見ながら、もしかしたら、どちらがどうとは言えないのかもしれないな、と思った。
たぶん、今一般に使われている分子標的薬も、まだ何か足りないのかもしれないし、それは今後ますます改善されていくのだろうとは思うけれども。

だからこそ、自分がどんな治療を受けたい(例えば、分子標的薬と放射線治療を受けたい)と思うのか、をはっきりお医者さんにお話しして、お医者さんの勧めてくれる治療方法との比較をていねいに聞いてみることが大切だと思う。
今は、どこの病院でも、正しい情報を伝えた上で患者の合意を得て(インフォームドコンセント)治療を行うことが普通になっていると思うので、お医者さんも、ていねいに説明してくれると思う。
その上で、納得できなければ、セカンドオピニオンを求めてみても良いと思う。

ただ、一番大切なのは、お医者さんからは情報をもらうのであって、どれを選択するのかは自分が決めなければいけない、ということだと思う。
もしかしたら、お医者さんにお任せします、という選択もあるかもしれないけれども、それで自分の決定が免責されるわけではなく、あくまで選択したのは自分自身である、と自覚すべきだろう。

これまでの3回の入院を通じて強く思うのは、がんという病気になるのも自分自身だが、医学の力を借りてそれを根治するのも自分の身体なのだ、ということだ。
自分の生存にとって好ましくない部分を、物理的に切り捨て、細胞的に切り捨て、それに伴う痛みや不具合などの副作用を身体の余力で何とかしていく、という感じではないかと思う。

今回の入院中、まわりは似たような治療を受けている方がたくさんいらっしゃったが、自分の場合、首のあたりの放射線焼けや喉の腫れなどの副作用は、比較的軽いものだったと、腫瘍内科のお医者さんからも、看護師の方からも言われた。
いろいろな要因があるとは思うが、自分自身でも、放射線治療後のうがいや保湿ローションの首への塗布は欠かさず行ったし、喉の不調が顕著になってからは、口腔保湿スプレーを使ったり、保湿マスクをして寝るようにして、口腔内の保湿を心がけていた。
それらを継続する、ということが多少なりとも副作用の軽減につながったと信じている。
ちょっと自負心が過ぎる表現だ、と思われるかもしれないが、患者サイドが出来ることは、それ以外には、前向きな気持ちを持つことくらいしかないのだから。

今日の食事

輸液最終日

さすがに昨日よりは動く気力があるので、朝食は7割くらい食べた。
ちょっと溜まっている洗濯物もコインランドリーに放り込んできた。

採血があって、その結果に大きな問題がなければ、予定通り土曜日には退院できるだろう。
頭頸科のお医者さんは、そのまま経過を見るので良いだろう、とのことだけど、放射線科のお医者さんは、残っていた腫瘤が完全にはなくなっていない懸念があるので、しばらく経過を見た後でCTの画像で判断したい、という考えのようだ。
いずれにしても、放射線治療はもう終わったので、これ以上、喉も舌も皮膚の火傷も悪化することはないということだけはめでたい。
(治療終了後に、さらに副作用が出る場合もあるようだが、そこまで心配しても仕方ないし。)

今日は、シスプラチンを流してしまうための輸液の点滴が一日中続く。
留置されている点滴の針はまだ良好みたいなので、刺し直さなくても大丈夫そうなのがうれしい。

午前中に、腫瘍内科のお医者さんが来てくれて、今朝の血液検査の結果のプリントアウトをを示しながら、全体としては問題ないと説明してくれる。
体制やお医者さんに依るんだろうけど、こんなふうに検査結果などの資料をすべてデータとして示してくれるほうが、自分にとってはより納得できるような気がする。

今日の食事

抗がん剤点滴翌日

やはり今日は食欲がなく、もう、最後なのをよいことに、あんまりがんばって食べようという気力もないので、朝ご飯は牛乳のみ。
昼ご飯は、冷やしうどんに食事を変えてもらっていたのでそれを食べた。
晩御飯も、さすがに何か食べなくては、ということで、半分くらいは気力を振り絞って(というほどでもないけど)何とか食べた。

今日の食事(朝ご飯は画像を撮影する気力すらなかったため、昼ご飯と晩御飯のみ)

水分補給

今さらだけれども、唾液が十分出ていないせいで、すぐに口の中がねっとりしてしまう。
そのため、ほとんど絶えず何か水分を口に含んでいるような状態だが、歯医者さんから勧められたように、スポーツドリンクは止めて、水を使うようにしている。
スポーツ飲料のほうがナトリウムやカリウムが含まれているので望ましいんだろうが、少なくともナトリウムは、ご飯を食べるときの香り付けに使っているふりかけにけっこう含まれていると思われるので、まあいいか、という感じ。

放射線治療も、やっとあと2回、ということになり、正直ほっとしている。
明日の抗がん剤の点滴も含めて、なんとか無事に治療のスケジュールが終わることを心待ちにしている。

今日の食事

最後の中休み

今日と明日は、治療はお休み。

土日は、これ以上身体が痛めつけられることはない、と思うと、本当にほっとする。
月曜日にはシスプラチンの点滴という大物が残っているけれども、放射線治療はあと2回なので、これならなんとか乗り切ることが出来るかもしれない。
この分なら、胃瘻を使わずに経口栄養だけで退院することも出来そうだ。
保険のためとはいえ、胃瘻にはいろいろやられっぱなしで、最近も妙にちくちく痛んだりと、本当に胃瘻とは相性が悪い。

腫瘍内科のお医者さんは、基本的に体調が問題なければ、週末に外出許可を出してくれるので、今日も、ある程度気晴らしのために外出してみた。
味覚障害のために、外出先で食べられそうな気のするものがないので、食事は病院で食べることにして、かつ、食べるものも買い込めないので、自分的にはかなりつまらないけれども、病院内でずっといるよりは運動になるのできっと体調にもよいに違いない。

今日の食事

あと少し、のはず

月曜日の3回目の抗がん剤治療にむけての採血、胸部・腹部のレントゲンと心電図検査。
前回の抗がん剤治療で、まったく食欲がない状態になって、それが味覚障害の悪化と重なってけっこうつらい状態だったので、次回の抗がん剤治療が怖くなっているのだが、それを知っている腫瘍内科のお医者さんが、残念なお知らせですが血液検査の結果もレントゲンも心電図も問題ない状態ですので、月曜日には予定通り抗がん剤を、と告げてくれたのだが、心なしかうれしそうに見えたのは見間違いだろうか?

放射線治療で首の皮膚が日焼けしたような状態になるので保湿が必要というのは言われていたので、保湿化粧水を丹念に塗っていたが、ちょっと盲点があって、首はよく塗っていたが、鎖骨の真上から首にかけてはあまり塗っていなかった気がする。
ちょうどそのあたりが痛がゆい状態になってきて、少し焦げ色も付いているように見える。
腫瘍内科のお医者さんに相談すると、ステロイド剤を処方しておくので薄く塗っておくように、とのことだった。
扁桃腺に近い首のあたりは意識していたけれども、そういえば確かに、鎖骨の上から耳の下まで放射線を当てます、と放射線科のお医者さんはおっしゃっていた気がする。

今日の放射線治療を受けた後で、口の中の乾燥はよりひどくなったような気がする。
マスクをしていなかったせいもあるかもしれないが、夜、寝ている間、何度か目が覚めて、その都度、アルカリイオン水で口をうがいして、そのまま飲み込んだ。
そうしないと、唇と歯ぐきが粘り着いていて、さらに口の中も舌と上あごが粘り着いているような感じで、呼吸は鼻からできるから良いものの、このまま口が開かなくなってしまいそうだった。

今日の食事

苦行

3度の食事という名の苦行をこなし、放射線治療で傷んだ身体を、なんとか補修すべく保湿ローションとうがいをする、という日程をこなしている感じ。
それにしても、食いしん坊の自分に食事が苦行に感じる日々が訪れるなんて。

今日を含めて4回なんだけれども、それがすごく長く感じる。

今日の食事