STOP! ガンのつらさ

朝日新聞を読んでいたら、塩野義製薬のサイトに「ガンのつらさ」というのがある、とのことだったので、さっそくのぞいてみた。
「STOP!ガンのつらさ」というコンテンツは本当にその通りだと思う。
がんの治療は、悪性新生物としてのがん細胞を何とかすることだけではなくて、がん細胞を原因として起きる痛みを含む不快な症状を和らげたり、治療の過程で発生する痛みを含む不快な症状を和らげることも、当然含まれると思う。
だから、痛ければ、痛くなくなるまで、痛い、と言い続けることは大切なことだろう。

自分自身は、幸い、放射線治療の間、のどの痛みもアセトアミノフェンのような一般的な痛み止めの薬を飲むか飲まないかくらいのレベルだったので、医療用麻薬は使わなかったけれども、同時期に隣のベッドで治療を受けていた方は、医療用麻薬を使ってのどの痛みを回避していた。
また、入院中は、毎週、痛みを含めて、体調や精神的な面のつらさに関するアンケート(というか、アセスメント)が実施されていて、看護師の方も、しょっちゅう、のどの痛みがひどくなっていないか、本当にしつこいくらいに確認していた。
自分の場合は、胃瘻が痛む場面が多かったので、どちらかというとそれに関して愚痴をこぼすことが多かったけれども。

月に1回の近所の歯医者さんでの検診。
いつもの通り、歯科衛生士の方が、歯垢の状況などを見て、その後、超音波で歯の掃除。
ずっと、だいたいきれいに磨けているけれども上の奥歯に比較的磨き残しがある、と言われていたので、
少しだけ磨き方を変えてみたが、その効果はあったようで、前よりはまし、と言われた。
ところで、いつからか意識していなかったが、舌の左側の奥行きの真ん中ぐらいのところに口内炎ができているらしく、塩辛いものなどがしみる気がする。
それで、舌に口内炎ができているような気がする、というと、幼なじみの歯科医が出てきて、ちょっと心配そうな声で、うーん、注意深く経過を見ていきましょう、と言われた。
全然意識していなかったけど、帰って舌がんについて調べてみると、舌の縁に口内炎様のものができる、と書いてあって、なるほど、なかなか直らない口内炎だと思っていたけど、これは舌がんということもあり得るのか、と納得。
次回、頭頸科のお医者さんの診察の時に、相談してみることにしよう。
やっぱり、なかなか心配の種は尽きないようだ。

消滅

今日は、月に1回の通院の日。

朝一で、CTの予約が入っていて、そのあと、頭頸科と放射線科のお医者さんの診察が続く。
CTの撮影自体は、わりとあっという間に終わるんだけど、造影剤を入れるためにひさびさに腕に針を刺されて、なんだか緊張した。
ほんの数分の間、針を刺しているだけだから、看護師の方も、自分の腕では一番針を刺しやすいと思われる、肘の内側の血管を選択した模様。
針が刺さる瞬間、自分でもびっくりするくらい緊張したけれども、思ったよりも痛みはなくて、看護師の方が上手だったのかな。
失礼ながら、件の看護師の方は、かなりのベテランのようにお見受けしました。

頭頸科のお医者さんの診察では、まず、手術で取り残されていた腫瘤がどうなっているかを、この病院に入院したときに撮ったCT画像と、今日撮影したCT画像を見比べて検討。
これが以前に残っていた腫瘤です、と言われて、お医者さんの見ている首の輪切り画面を一緒にのぞき込む。
きれになくなってますね、と言われて今回の首の輪切り画像をのぞき込むと、確かに、以前はあった丸い固まりがなくなっているのがわかる。
あれだけ大変な思いをしたんだから、なくなって当然、とは思うものの、やっぱり、なくなっていてほっとした。
これで、今後は、定期的に様子を見ていけば大丈夫です、というお医者さんの言葉に、今回はなんとかがんを振り切ることができたんだな、と実感した。

ここのところ、自分の症状で気になっているのが、退院した頃よりも喉の渇きがひどいように思えること、飲み込むときに違和感を感じるくらい喉が腫れぼったく思えること、そして、首の手術跡のむくみがだんだんひどくなっているように思えること、の三点だったが、お医者さんによると、いずれも、まあそんなもんです、とのことで、別段、心配するほどのことでもないようだった。

引き続いて、放射線科のお医者さんの診察。
先ほどの、頭頸科のお医者さんのコメントを伝えると、放射線科のお医者さんもそれと同じ見解だった。、
さらに、首のがんでは、時々肺に転移することがあるけれども、首の下の方まで下がっているリンパ節はなかったので、ほぼ大丈夫でしょう、と、珍しく楽観的な見通しで語ってくれた。
そして、このがんに関しては再発というのはほとんどないと思うので、せっかくだから、今後は、できるだけ身体にいい食生活、免疫を高めるような食生活と、適度な運動に、十分な睡眠を心がけてください、と励ましてくれた。
やっぱり、お医者さんにとっても、担当している患者が良くなるのはうれしいことなんだろうな、と勝手に推測して、今日の診察は終わり。

なにはともあれ、たぶん、家族が一番喜んでくれるだろうから、帰ったらさっそく報告しなくては。

医療費

数ヶ月に1回、健康保険組合から届く、ここしばらくの医療費に、放射線治療を受けた入院の分が記載されていた。
自分の支払った金額は、高額療養費制度のおかげで、本当に少ない額だったけれども、かかった医療費は、もちろんそれの三倍などというお安い額ではなかった。
42日間の入院での医療費を合計すると、約300万円で、思わず、へー、と声を上げてしまった。
もちろん、診療明細はもらっていたので、入院期間の点数がどのくらいになるのかはわかっていたけれども、改めて金額として示されると、そんなに高額な医療を受けたことになるんだ、と再認識した。
そして、いろいろ問題があるにせよ、日本の医療制度は、下々の者が病気になったときに、ちゃんと役に立つようになっているんだな、と感心してしまった。
よく、がん保険などのコマーシャルで、がんになると高額な医療費かかかるから保険で備えを、というのがあるけれども、(自分が標準治療しかうけなかったというのがあるかもしれないが)経験した限りではそんなに高額なお金を払う必要はなかった。

自分の治療の場合は、抗がん剤(シスプラチン)は、放射線治療の増感作用を期待している部分が大きいので、髪の毛が抜けてしまったりするほど大量の投与をされたわけではない。
20151110_203822なので、抗がん剤の痕跡はほとんど残っていないけれども、唯一、指の爪に斜めに光を当てるようにすると、伸びる方向に平行に3本の筋ができていて、その部分で爪がすこし溝になっていることがわかる。一般に爪が全部生え替わるのが半年らしいので、位置的に、シスプラチンの点滴を受けていた時期と重なるようだ。
一回目と二回目の点滴の間隔は4週間ほど開いたが、二回目と三回目は3週間ほどだったので、それに応じて溝の間隔も広めと狭めになっている。
点滴の当日や翌日は、軽いおう吐感や食欲不振に悩まされたけれども、こんなに時間が経ってから影響を見ることができるなんて、なんだか感慨深いものがある。
自分の中ではすでに過去のことになってしまっているけれども、はたして、それでいいのか、次回の通院ではCT検査が予定されているので、まずはそこからかな。

歯医者通い

放射線治療を受けた病院の歯医者さんから紹介してもらった形の、近所の歯医者さんへ、歯のメンテナンスをお願いに。
いつも担当してくれる歯科衛生士の方が、今日は前回より顔色が良い気がします、と言ってくれて、それだけでちょっとうれしい自分もかなり単純なのかもしれない。
唾液が少ないので虫歯になりやすいから、ちゃんとメンテナンスしてもらってください、と病院の歯医者さんから言われているので、神妙に治療台に上がる。
歯周ポケットの深さをチェックされるけれども、全体にそれほどは悪くなっていないのでちょっとほっとする。
いろいろ勉強したらやっぱり保湿が大切なので、と、チェックやメンテナンスの合間に、その都度、保湿ローションを口腔内に塗ってくれて、前回まで全然そんなことはなかったのに、本当にわざわざ勉強してくれたんだなあ、とありがたく思う。
医療関係の方は、本当に、どの方も、できるだけのことはしてあげよう、と思ってくれているようで、そういう方々に支えられながら、自分の体力を使って、自分の身体の不具合を修復していくんだな、と改めて感じる。
プラークの除去だけでなく、フッ素剤の塗布もうけて、今日は終わり。
なぜかフッ素剤の塗布は自費になるのがおかしかった。(500円だった。)
また、1ヶ月後に受診。

唾液とリンパ

しばらくの間、蟄居していたが、そろそろなんとか出かけても大丈夫そうに思えてきたので、5日ほど仕事で旅行に出た。
家で療養している時と比べて、水分補給なども制限があるので、どうしても口が渇いた状態で我慢してしまうことが多かった。
できるだけペットボトルの水を片手に持っているようにはしたが、思うに任せないときもあるし、ホテルの部屋は乾燥しているので、就寝中の口の渇きも激しくて、いくぶん治りかけているようだった舌の表面がまた荒れてしまって、少しぴりぴり痛い。
治りきっていない、というのもあるだろうけれども、以前と同じように、多少の無理、というのもしてはいけないんだな、と実感。

さらに、首の腫瘤を摘出した手術跡が、最近、むくみがちで、傷跡周辺や首のマッサージを心がけているけれども、気がつくと傷跡から上の部分がむくんでいることが多い。
手術は、耳の真下から垂直に下りて、首のしわに沿ってあごの真下まで切り開かれているので、特に、傷跡の耳の下側のところでむくむようだ。
放射線治療で入院していた時期には、もう傷跡の腫れはほとんど引いていたけれども、あまりむくみを気にしたことはなかったのに、今になってむくみが気になるようになってきたのは、それだけ身体の活動が活発になってきた、ということだろうか。
実際のところはどうなのかよくわからないけれども、少しでも良い方向に解釈しておくことにしよう。

通院

退院後2回目の通院。

今回は、頭頸科と放射線科のお医者さんの診察。

頭頸科では、食生活などについて問題がないことを尋ねられる。
そして、ファイバースコープで、経口での喉の様子と、経鼻での喉の様子を確認した後、首全体を押さえてみて、リンパのしこりなどがないことを確認。
特に問題はない、とのことで、次回、1ヶ月後に、造影剤を使ったCTで喉の検査をすることになった。
喉のリンパに残っていた腫瘤がどうなっているかを確認することになるようだ。
けっこう短時間で解放されてしまうので、ちょっと物足りない感じがしないでもないけれども、お医者さん的に問題がないというのは、けっこうなことだと思うので、さっさと診察室から退去する。

引き続き、放射線科のお医者さんの診察。
こちらも、経口での食生活が問題なく出来ているかどうかを尋ねられる。
そして、首回りの放射線照射後の強度の日焼けのような症状が回復してきているのを確認。
その後、次回の通院時の予約にCT検査が入っていることを確認して、リンパに残っていた腫瘤には、たっぷり放射線を当てておいたので、よくなっているとは思っているんですけどね、とのこと。
たっぷり、という表現もすごいとは思うが、自分を診てくれている頭頸科のお医者さんに比べると、こちらの放射線科のお医者さんは、どちらかというと悲観的な色合いで表現をされることが多く、その対比が面白かったりする。
なぜか、自分自身は、がんの告知を受けて以降、自分が根治しないなどと思ったことはないくらい楽観的なので、二人の先生の表現の谷間で惑うというようなことはないけれども、こうやって複数のお医者さんに同時に診てもらうのも、善し悪しなのかもしれないな、とふと思ったりもした。
ただ、放射線科のお医者さんも、放射線照射による後遺症は順調に回復していると判断しているらしく、頭頸科と同様にけっこう短時間で解放される。

1回目の通院は、自分でも往復に不安があったけれども、今回は、まったく不安もなかった。
退院してから1ヶ月半くらい経つので、さすがに、体力的にもある程度回復してきているんだろう。

穴からくぼみへ

胃瘻を抜去したときに、看護師の方から、ガーゼを外したらあとは絆創膏でも貼っておいてください、と言われていたので、少し趣旨は違うかもしれないけれども、バンドエイドのキズパワーパッドを胃瘻の跡にずっと貼り続けていた。
すると、ずっと浸出液が出るような状態が続いて、正直、大丈夫なのかな、と思わないでもなかったけれども、やっと今日ぐらいから浸出液がほとんどでない状態になった。
それに伴って、もしかしたら腹壁の中まで続いているのかもしれないような中の見えない穴状態から、底が赤い肉でふさがれたくぼみ状態に、胃瘻の跡も変化し、やっとこれでお風呂に浸かっても大丈夫かな、と思えるようになってきた。
これで、やっと、さんざん悩まされた胃瘻と、縁が切れたことになるんだろうか?

追加の処方

退院してからずっと利用していた半夏寫心湯がなくなったので、地元の病院のお医者さんの予約を取って、処方をお願いすることにした。
果たして、この漢方薬でうがいしているから、よりはかばかしく治りつつあるのかどうかはわからないが、効くと思っていること自体が大切なことだとは思うので。
今日の診察は、がんの告知をしてくれた、一番若い先生だった。
以前勧めてもらった半夏寫心湯がなくなったので処方して欲しい旨お話しすると、どのくらいの頻度で使用しているのか尋ねて、一ヶ月分を処方してくれた。
また、喉の様子をのぞいてみて、口腔内の乾燥度合いも尋ねてくれて、必要なら口腔保湿剤も処方できるので、と教えてくれた。
とりえあず次回の予約はせずに、一ヶ月後をめどに、また予約を取って診せに来てください、ということになった。
味覚に関しては、かなり回復してきた気はするが、甘味の感覚の回復が鈍くて、舌先でほんのり感じることもあるような気がするが、すぐに、感覚が麻痺してしまうような感じ。
放射線治療に伴って、甘味の感覚が一番最初にだめになったような気がするけれども、回復も一番最後になるのかもしれない。