床屋

今日は、週末で治療はなし。

少なくとも、これ以上、喉が痛くなったり、体調が重くなったりすることはないので、散髪に出かけてくることにする。
もともと、無精ひげ的にひげを伸ばしているが、入院してからは、放射線治療で放射線が当たるところは皮膚が敏感になっているので、というのを良いことに、ひげを刈り込んだりすらしていないので、かなりむさ苦しい風貌になってしまっている。
さらに、放射線照射されている部分のひげがぬけてきて、かなりちょっと変な感じになってきているので、せめて、全体に短めにそろえてしまえば、その変な感じも軽減されるのではないかとの予想。
自分ではあまり見えないけれども、どうやら、うなじのあたりも、放射線が当たるので毛が抜けているようで、床屋さんでうなじのあたりもひげも、短めにそろえてもらうことにしよう。

病院の中でずっといるとほとんど運動しないのに対して、外に出れば、多少なりとも運動するし、しかも気分転換にはなるので、可能ならば外出するのは望ましいらしい。
ただ、こんなに暑くては、というのはあるので、例によって日が陰り始めると思われる3時過ぎ出かけることにする。

ここのところ、ほぼ、終日、うとうとしていることが多いので、血圧を測っても上が100を切っている状態が珍しくないので、こんな状態で出かけられるのか、と危ぶんでいたが、シャワーを浴びると、なんとか出かけられそうな気がしてきた。

外に出ても、出来るだけ無理をしないように、いつもなら、ショッピングモールやスーパーをのぞしてみたりするのだが、さすがに今日は、ちょっとつらい感じで、床屋にたどり着いた段階で、本日の気力はほとんど使い果たした感じだった。
それで、よけいな物色はせずに、床屋が終わったら、駅のそば屋でぶっかけそばを食べて帰ってきた。
実際のところ、食べられるものがないのでは、という危惧感があったので、これなら何とかなりそうというところで、セルフそば屋のぶっかけそばにしてみた。
ただ、例によって、味はもう何もなく、かろうじて、上に盛られた刻み海苔のいい香りとそばの香りでかき込んだ感じ。
口の中が軽く火傷をした後の粘膜が傷んだ状態になっているので、そばのつゆの塩辛さは感じないにもかかわらず、水を飲んでも塩辛く感じるのと、そばでさえも脂っこいべたつきを感じてしまうのに辟易する。
そろそろ口から食べるのはあきらめざるを得ないのかもしれない、と思う。

今日の食事(晩御飯は、外食でぶっかけそば)

食べるということ

ご飯を食べる気がしない、という状態からは脱したけれども、栄養を摂らなくちゃ、という使命感でもって、お粥で食べ物を機械的に流し込む、というテクを使わないと食事がなかなか摂れない。
だらだら食べるとよけいつらくなるので、唇をかんだりしないように気をつけながら、それでも出来るだけ早く食べる。
そのせいか、ゲップが出て、食後に気分が悪かったりする。

できれば食事以外にカロリー補給を考えたほうが良いとは言われているが、以前は好ましかったとろけるプリン的なものが、口の中で油脂分が粘るような感覚があって受け入れられなくなってきたので、揚げせんべいみたいなものを買ってきてもずくスープでふやかして食べてみることにする。
これは意外といけることがわかった。
今のところ、何を食べても塩味になってしまうので、味の衝突もない。

もう一つ、杏仁豆腐を買ってきてみたので、こちらは匂いで食べることができるのではないかと期待しているので、明日のおやつにでも試してみよう。

相変わらず、身体が重く感じて、うとうとしていることが多い。
腫瘍内科のお医者さんや薬剤師の方の話を総合して考えると、これは2回目の抗がん剤の影響が大きいようだ。

自分に出来るのは、こまめにうがいをしたり、がんばってご飯を食べたりすること以外にはないので、それらに励むしかないんだけれども。

今日の食事

おかゆに混ぜる

基本的に食事は、鶏肉や魚などの口の中でぱさつきやすいものは、お粥に混ぜて流し込む(全粥なので、それほどどろどろしてはないけれども)というスタイルで食べるようにしている。
場合によっては、それにふりかけをかけて、塩味を追加する感じ。
もはや苦行の域にさしかかっているかもしれないが、目下の課題は、身体を維持・回復するための栄養を継続的に摂ることにあるので、どんな方法でも口から食べられればそれがもっとも望ましいようだ。
喉の痛みは、今のところアセトアミノフェンのオレンジ味(なのではないかと推測される)粉薬を食事の30分前くらいに飲んでおけば何とかなっているので、胃瘻を使うのは、とても喉を通らないようになってからにしたい。
ただ、この痛み止めも、まだ必須というわけではなく、思ったより早く食事が来た場合などは、痛み止めを飲まずに食事をしてしまうこともある。

2回目の抗がん剤の時にあまり食べられなかったのもあって、胃瘻が痛かった頃に比べて体重が約1kg以上は減ったと思われるが、そのせいか、腹壁の厚みが薄くなったようで、胃瘻の痛みがほとんどなくなった。
お腹が空いたときに、ちょっと引っ張るような感じは残るが、胃の中が痛い、というような感覚はなくて、それだけでも助かる。
胃瘻からじくじくしたものが出ていたのも、ちょっとぽろぽろしたものに変わってきて、ずいぶん扱いやすくなった感じ。

今日は、昼過ぎに、放射線の治療計画を立てる際に使った、シミュレーションの機械で、CTを撮り直した。
その後、通常の放射線治療も引き続きあり、いつもより線量が多いわけではないはずなのになんだか疲れてしまって、それから後、午後はほとんど、うとうとして過ごした。

夕方に放射線治療のお医者さんの診察があったので、シミュレーションでの取り直しの理由を尋ねてみたが、治療開始時と比べて体重が落ちてきているので、もう一度CTを撮り直して、放射線がきちんと患部に当たっているかを再確認する、とのことだった。
毎週日曜日に、看護師の方が体重を量っているのが電子カルテに記載されているので、その数値も確認しながら、放射線科のお医者さんは、まあ、大丈夫だと思いますけどね、とのこと。

今日の食事

吐き気止め

今朝は、なんとかお粥も食べることができて、昨日よりはましなのかもしれない。
腫瘍内科のお医者さんが、吐き気止めの薬をもう一つ出しておくので、お昼にそれを試してください、とのことだった。
吐き気止め以外に、胃腸全体を動かすような作用もあるので、とのこと。

放射線治療のあとで、いつも通り、保湿剤を塗っていたら、手に抜けたひげが付いてきた。
首のあたりもなにやらちくちくすると思ったら、うなじのあたりの毛が抜けているようだ。
放射線を当てることで強い日焼けというか火傷をしているようなものなので、照射しているところの毛が抜けるのはやむを得ないらしい。
もともと短くしているのであまり目立たないとは思うが、やはり気持ちがいいものではない。
腫瘍内科のお医者さんに尋ねてみると、あんまり引っ張ると痛くなるので、ゆっくり撫でるくらいで洗っておいてください、とのことだったので、シャワーの時にゆっくり撫でておいた。

今朝の採血の結果は、まあ、それほど何かの手当てをしなければいけないような状態にはなっていないようだが、多少なりとも、血液の状態や肝臓の状態に影響は出ているようだった。
口からもできるだけ水分補給をして、抗がん剤を体外に排出するように努めて欲しい、と例によってみんなから言われる。

今日の食事

食欲不振

やはり味がないのがつらいのか、食欲がない。
今朝は何とか食べたけれども、昼ご飯は、ついに、おかずを7割くらい食べただけで、おかゆを全部残してしまった。
これまで病院に入院していて、完食しなかったのはこれが初めて。
ご飯を食べた後、2時間ほど、ベッドに横になり、眠って過ごした。

点滴を交換するときに看護師の方と話をしていると、抗がん剤の副作用で食欲不振なのかもしれないですね、とのことだった。
確かに、吐き気の一歩手前くらいの感じで食欲がないような気もする。

喉もご飯を食べるときに滲みるようになっているので、昼ご飯から痛み止めを飲むようにしているが、やはり喉の痛み、というよりは、煮込んでぱさぱさになった肉などを飲み込むだけの唾液が出ない、ということや、基本的に味が感じられない、ということが大きな要因になって、食欲不振を打ち消すだけの食欲がないのかもしれない。

結果的に、お腹も少しやせて、腹壁の厚さも多少少なくなるのではないかと期待されるので、ずっと痛みがあった胃瘻に関しては良い方向かもしれない。

ただ、どのお医者さんも、治療終了後の回復時に体力が必要なので、がんばって食べてください、とおっしゃるので、がんばって食べなくては。
でも、なんとなく胸焼けもするし、これは、本当に食欲不振状態かもしれない。
今日の晩御飯も、かなりパスしたい気分。
結局、おかずは食べて、お粥を残してしまった。

もう半分終わった、と考えたいところだけど、ついつい、まだ半分しか終わっていないのにこの状態では、と思ってしまう。

今日の食事

お茶の渋み

今日は2回目の抗がん剤=シスプラチンの点滴の日。
最近は放射線治療が朝一のことが多いが、今日も朝一で呼ばれたので、点滴をする前でよかった。

ちょっとびびっていたけど、今日のお昼の看護師の方は、けっこう丹念に静脈を探してくれて、一発で留置用の点滴の針を入れてくれた。
自分にとっては、こういう看護師の方こそ、天使に見えてしまう。

昨日買ってきて残してあったバッテラを食べるために緑茶を淹れて口に含むと、なぜかすごく渋い。
先日のぶどうの時のよう。なぜこうなるんだろう。

緑茶の渋みはタンニンによるもので、Wikipediaによれば、タンニンが、舌や口腔粘膜のタンパク質と結合して変性させることで独特の感覚が生じるとのこと。
全体に粘膜が傷んでいるので、より渋い状態になりやすいのかもしれない。
ぶどうの果皮にもタンニンは含まれているから、先日のぶどうが渋かったのもたぶんこういうことだったのだろう。

今日の食事

苦行の始まり

一か月弱ぶりに家に帰って、この時期らしいものを食べてみた。
いわく、鮎の塩焼き、白桃、梨、蔓紫のお浸し、など。

結果、わかったことは、塩味や甘味に関しては、すでにかなり感じなくなっているようで、特に、果物の甘味はほとんど感じることが出来なかった。
梨はそもそも水くさかったようだが、水くさいなりの甘味などはまったく感じず、梨の植物としての青臭さのようなものだけを感じた。

そういえば、先週末に外出した際に、チリ産の緑色のぶどうのパックを買ってきて、3日ほど病室で食べていたが、えぐみのような感覚がすごく強かったのを思い出した。
たぶん、それなりに甘かったんだろうけど、果物の甘味はその頃からほとんど感じることが出来なくなっていたのではないかと思う。
そのため、甘味ではなく、ぶどうのえぐみ(しぶみ)のようなものだけを強く感じたのではないか。

けれども、昨日も思ったが、蔓紫のお浸しなどは、意外なほど味がそのままで、結局、塩味や甘味などの味覚で味わっていたのではなく、蔓紫の独特の香りで味わっていた部分が大きくて、以前と味が変わっていない、ととらえているような気がする。

放射線治療で味覚にダメージを受けるというのは、治療開始前からお医者さんに副作用として知らされていて、実際のところどうなんだろう、とずっと思っていたが、なるほどこういう状態になるのか、と納得した次第。

これからは、さらに、これに喉の痛みが追加されていくので、確かに食事を摂るのはどんどん難しくなるだろうな、と思う。
美味しく食べるのが難しいものを、喉の痛みを我慢して食べるというのは、ある意味、難行苦行の類かもしれない。

外泊

今日は今回入院してから初めて、外泊で帰宅。

遠足効果なのか、昨日の夜はちょっとそわそわした感じでよく目が覚めたんだけど、不思議と胃の痛みも落ち着いていて、結局鎮痛剤を使わなかった。
これから二日間は、放射線治療もお休みなので、喉の痛みもある程度良くなることを期待したいが、今のところちょっと望み薄な状況で、逆に痛みが定着しつつある感じ。

家に帰ってきて、以前から食べていたようなものを食べてみると、すでに塩辛い味覚や甘い味覚はかなり麻痺してしまっていることが判明。
病院の食事ではあんまりよくわからなかったけど、以前から食べている家の食事を食べると、放射線治療によってどのくらい味覚の障害が出てきているのかよくわかる。
たとえば、スイカなどを食べてもあまり甘さは感じず、逆によく漬かった塩辛い漬け物を食べても野菜の味と酸っぱさしか感じなくて、以前も感じていたように、真水を飲んでも塩辛く感じてしまう。
ただ、野菜の味や肉の味などはそれなりに感じるので、これは味、というよりも、それぞれの素材の匂いに負うところが大きいのかもしれない。

ちょっと調子に乗って、おせんべいみたいなものも食べていたので、飲み込むときに喉を痛めたらしく、舌に感じていた塩辛いひりひり感が喉のほうまで広がってきているようだ。
自分で鏡をのぞいてみても、喉の奥が赤くなっているのがわかるようになってきた。

晩御飯の後、出来るだけ早く歯磨きをして、うがいをしてみたけれども、明日になって多少はましになっているというのは、あまり望むべくもないのかもしれない。

まあ、それでも、病院で過ごしているよりは、気分的にゆったりはしているので、やはり帰ってきて良かったと思う。
その反面、喉のケア、という意味では、つい喉に負担がかかるとわかっているおせんべいの類を食べてしまったりもするので、やっぱり病院で過ごしているほうが望ましかったりするんだろうな。

今日の食事(昼ご飯以降は、外出先と家で食べたので画像なし)

胃瘻、その後

胃瘻というか、胃は相変わらず、夜寝るモードに入ると痛くなるので、昨日は夜中に目が覚める時まで待たずに、寝る前に痛み止めを飲んでみた。
結果、結局夜中には痛みで目が覚めて、それなら痛みで目が覚めてから飲んだほうが、むしろ長く痛み止めの効果が続く気がするので、事前に痛み止めを飲むのは止めて、以前と同様、もし夜中に痛みで目が覚めたら痛み止めを飲む、という対処にもどすことにした。

来週の月曜日には、2回目のシスプラチンが予定されているので、その確認のための血液検査用の採血と心電図を取った。
放射線治療は、ここのところ朝一番なので、それはそれでいいのだけれども、終わった直後にはやっぱりダメージを受けている感じがする。
さらに、喉も、だんだん痛くなっているような感じ。
血液検査の結果を告げにやってきた腫瘍内科のお医者さんも、喉をのぞいて、ちょっと赤くただれてきてますね、と言っていたので、そろそろ食事のために痛み止めが必要な状態になるのかもしれない。
午後は出来るだけ身体を休めて、喉の回復を図ってみることにしよう。

午後3時過ぎにシャワーを浴びて、冷やしてあった缶詰めの水ようかんを食べたところ、思いのほか甘味がしなくて、やっぱり味覚も確実にダメージを受けてるんだな、と実感した。
小豆の味はするけど、甘味はかなり遅れてやってきて、しかも、塩辛いような味もする。
塩味には鈍感になっていて、逆に、ただの水でも、なんとなく塩辛いような感じがするようになっているので、そのせいだとは思う。
放射線治療によるダメージは、まだ半分というところだから、もっと味覚はひどい状況になっていくのかもしれない。
まあなるようにしかならないので、どうなるかを想像するのはやめておこう。

今日の食事

根治を目指して

今週末は、一泊二日で帰宅予定なので、それにむけて放射線治療をルーチンでこなしている感じ。
今のところ、まだ鎮痛剤なしで口からものを食べることが出来るので、あと二日間、できるだけ喉などをケアして、食べられる状態を維持したい。

いつもは金曜日の頭頸科の診察が、なぜか今日に変更になった。
たぶんお医者さんが、明日は出張か何かで忙しいんだろう。
まだ喉の腫れもそれほどひどくはないことを確認して、お医者さんが、ちょうど半分終わったところですから、後半もがんばっていきましょう、と言ってくれた。

もちろん、根治を目指してがんばらなくては。そのために入院しているのだから。

今日の食事