上部消化管内視鏡検査

今日は、上部消化管内視鏡の検査。

以前、大腸の内視鏡検査は受けたことがあるけれども、口から内視鏡を入れるのはこれが初めて。
すごく苦しいよ、と妻に言われたので、当然のように鎮静剤の併用を希望して検査を受ける。
本当は検査当日に家に帰るつもりだったけれども、それだと、最終的に自家用車を運転しなければならなくなるので、鎮静剤を使ってもらえるようにわざわざ一泊増やして滞在した。

上半身を検査着に着替えて、検査の部屋に行くと、麻酔薬のゼリーをしばらく喉にためた後で飲み込んで、診察台に横向きに寝るように言われる。
内視鏡のお医者さんとおぼしき人が、左手に針を刺して、オビスタン(ペチジン塩酸塩:鎮痛薬)とミダゾラム(催眠鎮静薬)を注入して、すぐに意識がなくなり、気がついたときにはもう検査は終わっていた。
診療明細にはナロキソン塩酸塩(麻薬による覚醒遅延を改善する薬)とあったので、これを注入されて意識が戻ったんだろうと思う。

検査中は意識が全くなかったので、どういう状態だったかわからないが、ほおによだれの匂いがしていたので、たぶん、かなりよだれは出ていたご様子。
検査室から安静にするための部屋へ、看護師に腕を取って連れて行ってもらい、しばらく安楽椅子に座って過ごす。
まだ鎮静剤の効果がかなり残っているようで眠かった。
眠っている人も見かけられたけれども、自分は、ぼーっとしたまま40分ほど過ごす。
看護師の方が、あとは何を食べてもいいですよ、と言ってくれて、これで解放されることになったようだ。
検査中に組織を取ったりしたのか尋ねてみたが、そういうことは何もなかった、とのことだった。
少なくとも、明らかなポリプなどはなかったということらしい。

上半身の検査着を脱いだ後で、着替えた後で洗面所でほおを水で洗って、会計に向かったが、病院に着いて2時間も経っていないくらいで、いつになく短い滞在時間だった。

入院手続き

今日は、いろいろ回って、午後いっぱい病院にいた感じ。
まずは、腫瘍内科のお医者さんから、抗がん剤の治療について。
抗がん剤についてのお話しがあるとのことだったけど、薬そのものについてはそれほど説明もなく、副作用についての説明というか、留意事項がすごくて、放射線治療とシスプラチンによる抗がん剤治療の併用で、90%の人が飲み込むことさえ困難になるので、初回の抗がん剤治療が終わった後で、胃瘻を作ります、とのことだった。
どうしても嫌っていう人もいるので、そういう人には作らないですけどね、と言われて、気の弱い自分は、どうしてもイヤ、とは言えなくて、とりえあず、胃瘻の手技をしてくれる胃腸科のお医者さんの診察を受けることになってしまった。
というのも、診療内容の説明に、疼痛の管理に麻薬(モルヒネ)を使います、と書いてあって、そんなに痛いと、きっと自分も口からはものが食べられなくなるに違いない、とすっかり弱気になってしまったのだ。
実際のところ、どうなるのかわからないけれども、逆に使わないことを目標にして、でも、胃瘻は作っておく、という選択もありかもしれない。

今、体調に変化はなく、扁桃腺の手術跡も痛みもなく違和感もほぼなくなった状態で、だけど、胃瘻を作るような大変なことをして治療しないといけない状態なんだな-、とそのことで自分の置かれた状況の危うさを自覚するような感じだった。

次回の来院時に、化学放射線治療のオリエンテーションがあるので、それを受けるように、とのことで、いよいよ始まりが近づいてるんだな、という感じだった。
もちろん、始まらないと終わらないけど。

次は院内の歯科へ。
自分の場合、子供の頃にちゃんと歯磨きしなかったのもあって、ほとんどの歯が、神経を抜いて金属がかぶさっている状態なので、放射線を当てるとそこで反射して良くないらしい。
そのため、歯科にもかかって、放射線が反射しないようなマウスピースを作ってもらうことになった。
前回の診察の時に、放射線のお医者さんが、最初は、歯の金属の冠を外さないといけないかもしれないですけど、と言っていたが、結局、マウスピースで反射を抑えれば大丈夫でしょう、ということになって、今回は、院内の歯医者さんの診察も組み込まれていた。
歯医者さんでは、パノラマという歯の全周のレントゲンをとり、かつ、歯周ポケットの状態もチェックした後で、マウスピースを作成するための型どりをした。
割とひんぱんに近所の歯医者さんに行っていたので、歯周病っていうことはないよな、と思っていたけど、歯医者さんによれば、腫れている歯茎などはないみたいですが、放射線治療で唾液が出にくくなると虫歯になったり歯周病が悪化したりするので、今後、その管理もしていきます、とのことだった。

この後、入院手続きの案内と書類をもらいに受付に立ち寄り。

そして、引き続き、CT撮影。
咽頭部のCTを、そのままの状態と、造影剤を入れた状態で撮影。
一番最初の首の腫瘤の手術をする際に撮影したのと同じなので、不安はなかったけど、造影剤が入ってきたときの、上半身から順番に全身が、かーっ、となる感じはあんまり気持ちのいいものではなかった。
歯が邪魔らしく、首を思い切りのけぞらせるような姿勢で、一部、再撮影。
うまく撮れているといいけど。
かつ、別の悪性新生物が写っていないといいけど。

同伴診察

今日は、妻と一緒に転院先の病院へ。

病院そのものや自分を担当してくれるお医者さんを実際に見てもらい、かつ、治療の概要を説明してもらったりそれに対する疑問への回答をもらうために、担当してくれることになっているお医者さんにお願いして時間を取ってもらった。
セカンドオピニオンから始まって、前回の診察も自分一人で病院に行ったので、妻は、いったいどんなところで治療を受けようとしているんだろう、と不安に思っていたようだったが、実際に病院の施設を見たり、お医者さんと話をして、これなら治療をお願いしても大丈夫そうだ、と思ったようだ。

基本的には、自分が納得して治療を受けるのが一番大切だとは思うけれども、家族など自分の近くにいてくれる人が、それを理解してくれているのもそれに劣らず大切だと思う。
妻に説明するための時間を、多忙なお医者さんに、わざわざ取ってもらって申し訳ない気もしたが、治療の一環と考えれば、十分に意味のあることだとは思う。

妻が、自分も働いているので、治療中に夫に付き添うことはむつかしいのだが、と言うと、放射線科のお医者さんは、中咽頭がんの方をたくさん診て、このような放射線治療はルーチンと言えるくらい実施しているが、この放射線治療ですぐにどうこうなるというようなことはないので、付き添わなくても大丈夫、と言い切っていたのが印象的だった。

いろいろな情報も教えてもらっているけれども、やはり、自分の治療をどうするか、というときに、お医者さんの印象というのは大きい要素を占めるのかもしれない、と思う。
ただ、実際に入院すると、本当は、病棟の看護師の方の印象のほうがより大きいことに気づいたりはするんだけれども。

妻が気にしていた分子標的薬を使った治療についても、放射線治療を担当するお医者さんは、分子標的薬は、一時期、試してみていたが、あまり治療成績が良くない場合が多かったので、今は、シスプラチンを使うようにしている、
とおっしゃっていた。
妻も、お医者さんの説明に納得してくれたようだった。

これについては、これらの記事が参考になるかもしれない。
(2015/11/04追記:ネット上に、いくつか、参考になりそうな記事があったが、サイトが閉鎖されたり、loginが必要になったりしているので、リンク情報は削除した。)
後者の記事にあるように、腎臓が悪かったり高齢などの場合には、分子標的薬(セツキシマブ)を選択することになるのだろう。

放射線科のお医者さんは、あなたの場合には年齢的にも体格的にも、シスプラチンの標準治療をおすすめします、とのことだった。
逆に考えれば、それだけのことをしないと、今の医学では、がんの根治はむつかしい、ということなのかもしれない。

ただ、もし今回根治できたとしても、それは5年生存率の中に入ることができた、ということだけで、そこから先、再発、または、別のところに原発がんができる可能性もあるわけだよね、と思ってしまう。
でも、心配し始めればきりがないし、それに、5年たてば、もしかしたら新しい治療法が開発されている可能性もあるわけだから、とりあえず、今回の扁桃腺がんの根治だけを考えるように、それ以外のことを考えるのはやめることにした。

長期戦

仮の状態ではあるけれども、放射線治療の日程が出てくると、けっこうな日にちを費やさなければならないことがわかってきた。
放射線を2gyという単位で33日間当てることになるが、土日祝は治療がお休みなので、実質40日強かかることになる。
けれども、逆に、9月初めには放射線治療に関する日程が終わると考えると、直接の副作用も、そこまで我慢すればいいわけで、思ったよりは長いわけじゃない、ということもわかって、そこから後は少しずつでも良くなるんだ、という安心感もあったりする。

ただ、抗がん剤治療がどんな日程なのかがまだよくわからないので、結局のところ、どんな日程で入院して、どんな日程で通院することになるのかがわからなくて、その時点で、今後の予定の立案が止まってしまう。

  • 放射線治療:2gy✕33日 (gyは放射線の単位)
  • 抗がん剤(シスプラチン)治療:3回 (3週間間隔だが体調により2回になる可能性もある)

転院先での診察

転院先の放射線科のお医者さんの診察があり、お話ししていると、どうやら、頭頸科専属で放射線を担当されているようで、こんなに大きい病院になると専門を分けないとやっていけないので、とのこと。
それがいいのか悪いのかわかりませんけどね、とおっしゃっていた。

実際の治療の話になり、放射線治療の副作用としては、広範囲に口内炎になったり、のどが腫れたような状態になって、食べるのもむつかしくなることがあるので、胃瘻を作ることを勧める、とのことだった。
ただ、自分的には、なんだかそれは情けないな、と思わずにはいられない。
口から食べられなくなるなんて。

また、もう一つの大きな副作用として、舌に放射線が当たるのは避けようがないため、味覚がなくなってしまう、とのことだった。
これに関しては、30才台や40才台の若い人は回復するが、70才台や80才台の方は、回復しないことが多い、とのことで、つまり自分は五分五分くらいのところにあるのかな、という感じがする。
ただし、80才台の方でも回復した方いらっしゃって、その方は、料理を作るのが好きでなんとか回復したい、という意思があったからではないか、とのことだった。
食べるのが好きな方は、無理をしてでも食べるので、結局それが味覚のリハビリにもつながるのではないか、とお医者さんはおっしゃっていた。
逆に、胃瘻に頼って一定期間食べずにいると、今度は口から食べるのが困難になってしまうとのことで、やっぱり食べないといけないんだろうな、と思った。
扁桃腺の手術を受けて退院した直後も、食べ物の味が喉にしみて、あまりに痛いので、思わず箸を置くことがあったけど、あんな状態✕10倍くらいだったりするんだろうか?
結局、副作用の出方は人によって違うんだろうし、お医者さんも、どちらかというと悪い場合の話をされることが多いので、それによって逆に怖じ気づいてしまうような気もする。
だからと言って、お医者さん的には、最悪の状態についても説明しておかなければならないなんだろうし。

現状、自分の腫瘍はPET/CTで検出できる程度の大きさのものは、結果的に摘出してしまった状態なので、このまま何の治療もしない、という選択肢もあるのかもしれない。
もし、そういう選択をしたらどうなのか、とお医者さんに尋ねてみると、1年か1年半後には再発する可能性が高い、とのこと。
手術で腫瘍は摘出したが、それ以外のところには当然固まりになっていないがん細胞が散らばっていると考えるべきで、今だからこそ、できるだけそれらを叩いて、完治しておく必要がある、と力説されていた。
結局、やるべきことは、放射線治療+化学治療なんだろうな、とは思っているんだけれども、それを疑いなく納得できる材料が欲しくて、お医者さんにいろいろ問いただしているような状況だと思う。

もし、放射線治療をするとしたら、どのような日程になるのか?と尋ねたのに対して、お医者さんは、放射線治療については、仮ではあるものの、こんな感じでということで外来の予約を入れてくれた。
放射線の治療開始までには、準備からどんなに早くても2週間はかかるとのこと。

お医者さんの作ってくれた日程は、放射線治療の準備にかかるのが7月1日になっていて、6月に時間が空いた状態になっている。
前回のこともあるので、妻を病院に連れてきて説明してもらう時間を取るにはちょうど良さそうにも思えたが、このタイムラグを作らずに速やかに放射線治療を開始するほうがリスクは小さくなるのではないか?という疑問もあった。

これに対して、お医者さんは、すでに扁桃腺から喉のリンパ組織に転移していたので、この際、上部内視鏡検査をして、食道や胃、十二指腸に転移していないかを確認して、治療が必要なところを確定した状態で治療したほうが良いと思う、とのことだった。

腫瘍マーカー

病院で、喉の状況の経過を見てもらった。
先週採血した結果も、やはりSCCという扁平上皮がんに対して使われるらしい腫瘍マーカーは正常値にとどまっているとのことだった。
いくつかのウェブサイトを参照してみたけれども、腫瘍マーカーも、すべての種類のがんに対して、特異的に適用できるものがあるわけではないようで、SCCはどうやら扁平上皮がんのうちでも、肺がんや子宮頸がんなどに適用されることが多いようだった。
一応、喉の腫瘤も取って、扁桃腺も摘出した後の、PET/CTによれば、それ以外に大きい集積はなかったので、これから放射線治療をするとして、何を指標としてやるんだろうか。
腫瘍マーカーの値が高ければ、それが低下するなどで、治療の成果が上がっていると判断するんだろうけど。
まあ、そのへんは、診察を受けてみないとわからないので、とりあえず、木曜日に転院先の放射線科のお医者さんの診察を受けるのを楽しみに。

左右のバランス

扁桃腺摘出の傷跡に、チーズやしょうゆのように塩辛いものがしみることはなくなっていたけど、まだあくびをすると喉が痛いような気がして用心しながらあくびをかみ殺している状態だったのが、そろそろあくびをしても大丈夫になってきたご様子。
扁桃腺を取ると、しばらくの間かなり痛い、とは言われていたけど、やっぱり、経験してみないと、その痛さと不自由さはわからないものなんだな。
結局、自分の経験の範囲内にのみ、自分の生活空間はある、ということなんだろう。
たぶん、そのへんが、自分が凡人たるゆえんなんだろうけど。

今回、お願いして左右両方とも扁桃腺を取ってもらったけど、意外と、左の扁桃腺(扁桃腺がんと診断された扁桃腺)よりも、右の扁桃腺のほうが治りが遅くて、てっきり正常な扁桃腺のほうが治りが早いと思っていたのに、さすががん細胞、通常細胞より治りも早いんだろうか?
(もちろん、手術してくれたお医者さんは、左の扁桃腺でそれらしい組織はできるだけ取り除いておいたので、とはおっしゃってくれていたけど。)

電話

午前中にいきなり知らない番号から携帯電話に電話がかかってきて、どこからかと思ったら、今度診てもらうことになっている病院からだった。
医事連携課の方とかかな、と思ったら、このあいだセカンドオピニオンでお世話になったお医者さんご本人からで、つまり、今の病院から紹介してもらっているお医者さんご本人だったので、ちょっとびっくりしてしまった。
しかも、診察予定の前日に、放射線科も受診しておいて欲しいので、予約は取ったから、という連絡だった。
診察でお忙しいだろうに、わざわざご本人が電話をしてくださって恐縮してしまった。

トンカツとえびせん

病院で追跡血液検査。
すぐにわかる数値には、特に変わりはない、とのこと。
腫瘍マーカーの検査は外部に委託しているので、結果が出るまでにはしばらく時間がかかるので、来週、もう一度来てもらって、そのときには結果が出ているだろう、とのこと。
扁桃腺摘出後の喉の様子は、あと少し、と言われた。

今日の外来は、自分の主治医ということになっている若いほうのお医者さんと、もう一人のお医者さんとで診ているが、わざわざもう一人のお医者さんも自分の喉をのぞき込みに来てくれて、だいたい治ってきたけど、まだ、トンカツとかは避けておくように、と言われた。
実際には、もう、好物のえびせんべい(かっぱえびせんではなく)なども、バリバリ食べたりしているんだけど、それをそのまま言うとまずそうな気がしたので、ビスケットとかは食べているんですけど、というと、うーん、まあ、ミルクとかに浸して柔らかくするように、と言われたので、素直に、はい、と返事した。