保湿

昨日の放射線治療の後でも思ったが、今朝もうがいをしていると、最初は塩辛く感じたうがい薬が、あまり塩辛くなく、むしろ、ほんの少し酸味を感じるようになっている気がする。
これは、ひょっとしたら、すでに塩辛い味が感じにくくなってしまっているということなんだろうか。
週末に食べた長崎ちゃんぽんも、ファーストフード的なレストランにしては意外と塩辛くない味だな、と思ったけど、すでに塩味に鈍感になっていたのかもしれない。
客観的に味がどのくらい感じていないかを示すのは難しいが、何か指標になるようなものを定期的に食べて、味覚がどのくらい変化しているか確認すると、現状認識に役立つかもしれない。そんなものってあるんだろうか?

今日は放射線治療以外に、放射線科のお医者さんの診察があった。
前回お願いしていた、治療計画の図をプリントアウトしてもらったが、本当に細かく考えて放射線を当ててくれているが、これも、コンピュータがあってこそ、こういうことができるんだろうな、と思った。
仕組み的に、放射線の強度そのものを時間軸方向で細かくコントロールするのは難しいだろうとは思う。
放射線治療の機械は、放射線を出すところが、ぐるっ、と身体を一周して、身体のいろいろな方向から放射線を当てるようになっている。
その放射線を出す面に細かいぎざぎざのパターンが出るようになっていて、一周回る間に、細かくパターンが変化して、その時に出る放射線を遮っているようだ。
結果的に、ぐるっと一周放射線を当てたときに、必要なところには当てて、不要なところにはなるべく当てないような絞りのパターンを考えるのだろう。
昨日、照合の時に不都合があったらしく、お面のつけ治しがあったことをお医者さんに話すと、1mmの精度で設計しているので、毎回、照合の時に合わせているんですよ、とのことだった。
ただ、呼吸による動作などでのある程度のずれはやむを得ないので、3mm程度はずれても大丈夫なように広めに照射している、とも教えてくれた。
自分が放射線治療のエキスパートになっても仕方ないのだが、なかなかに興味深い話ではあるので、また、次回の診察の時に、いろいろとうかがってみることにしよう。

お医者さんから、放射線で傷ついても、粘膜は少しでも補修しようとするので、粘膜が乾かないように湿った状態でいるように、保湿をしっかりしてください、とのことだったので、さっそくマスクを買ってきて、寝るときには着用してみることにした。
細々気をつけてみても、毎日、放射線の有無を言わさぬ力でダメージを与えているので、悪い方向に進むことは間違いないんだろうけど、少しでもそのダメージを補修できれば、少しでも長い間、味覚を維持して、口から食べることができるのではないか、と思うので、セルフケアに励むことにする。

今日の食事

放射線治療計画

放射線治療計画白黒のプリントアウトを写真に写しているので、すごく見にくいとは思うんだけど、雰囲気がわかればいいか、ということで、自分の放射線治療計画図。

右上の図以外の3つの図には、等高線のような線がいっぱい描かれていて、それぞれが何Gyの放射線を当てる範囲なのか、というのを示している。
もちろん、もともとの図面はカラーで表示されている。

左下の図が、寝ている自分の首を上から見たときの、放射線の当て具合。
左の扁桃腺に相当するあたりに、放射線を当てるところが集中しているのがわかる。
その図面の横線のところでの断面図が左上の図。
足元から見ている図になるので、左側の等高線に相当する、図の右側に高い放射線が当たる場所が集中していることがわかる。
右上の図が、このように放射線を当てるためにどんなパターンのシャッターで放射線を遮れば良いか、というのを示している図で、ここに現れているぎざぎざのパターンと同じものが、放射線を当てる機械(リニアック)の放射線投射面に現れている。

このパターンは、角度毎に計算されているので、リニアックが回転する毎にパターンがどんどん変化していく。
結果的に、頸椎のまわりや比較的がん細胞が少ないと思われる右側の唾液腺などはできるだけ放射線を当てないで、でも、原発巣だった左の扁桃腺のあたりや、摘出した以外にも転移した腫瘍が残っている左の首のリンパ節などには、たっぷり放射線を当てる、ということになる。
この、強度変調放射線治療(IMRT)、というのは、ここ5年くらいで普及してきたやり方とのことだけれども、3次元的に累積する放射線の影響を計算するとか、コンピュータによる制御なしにはとても考えられない。
免疫治療の話しだとか、センセーショナルながん関係の治療の進化は話題になることが多いけれども、そういうものだけでなく、こういう言わば実務的な、より多数のがん患者に関係すると思われるところも着実に進化しているようだ。