通院

退院後2回目の通院。

今回は、頭頸科と放射線科のお医者さんの診察。

頭頸科では、食生活などについて問題がないことを尋ねられる。
そして、ファイバースコープで、経口での喉の様子と、経鼻での喉の様子を確認した後、首全体を押さえてみて、リンパのしこりなどがないことを確認。
特に問題はない、とのことで、次回、1ヶ月後に、造影剤を使ったCTで喉の検査をすることになった。
喉のリンパに残っていた腫瘤がどうなっているかを確認することになるようだ。
けっこう短時間で解放されてしまうので、ちょっと物足りない感じがしないでもないけれども、お医者さん的に問題がないというのは、けっこうなことだと思うので、さっさと診察室から退去する。

引き続き、放射線科のお医者さんの診察。
こちらも、経口での食生活が問題なく出来ているかどうかを尋ねられる。
そして、首回りの放射線照射後の強度の日焼けのような症状が回復してきているのを確認。
その後、次回の通院時の予約にCT検査が入っていることを確認して、リンパに残っていた腫瘤には、たっぷり放射線を当てておいたので、よくなっているとは思っているんですけどね、とのこと。
たっぷり、という表現もすごいとは思うが、自分を診てくれている頭頸科のお医者さんに比べると、こちらの放射線科のお医者さんは、どちらかというと悲観的な色合いで表現をされることが多く、その対比が面白かったりする。
なぜか、自分自身は、がんの告知を受けて以降、自分が根治しないなどと思ったことはないくらい楽観的なので、二人の先生の表現の谷間で惑うというようなことはないけれども、こうやって複数のお医者さんに同時に診てもらうのも、善し悪しなのかもしれないな、とふと思ったりもした。
ただ、放射線科のお医者さんも、放射線照射による後遺症は順調に回復していると判断しているらしく、頭頸科と同様にけっこう短時間で解放される。

1回目の通院は、自分でも往復に不安があったけれども、今回は、まったく不安もなかった。
退院してから1ヶ月半くらい経つので、さすがに、体力的にもある程度回復してきているんだろう。

穴からくぼみへ

胃瘻を抜去したときに、看護師の方から、ガーゼを外したらあとは絆創膏でも貼っておいてください、と言われていたので、少し趣旨は違うかもしれないけれども、バンドエイドのキズパワーパッドを胃瘻の跡にずっと貼り続けていた。
すると、ずっと浸出液が出るような状態が続いて、正直、大丈夫なのかな、と思わないでもなかったけれども、やっと今日ぐらいから浸出液がほとんどでない状態になった。
それに伴って、もしかしたら腹壁の中まで続いているのかもしれないような中の見えない穴状態から、底が赤い肉でふさがれたくぼみ状態に、胃瘻の跡も変化し、やっとこれでお風呂に浸かっても大丈夫かな、と思えるようになってきた。
これで、やっと、さんざん悩まされた胃瘻と、縁が切れたことになるんだろうか?

追加の処方

退院してからずっと利用していた半夏寫心湯がなくなったので、地元の病院のお医者さんの予約を取って、処方をお願いすることにした。
果たして、この漢方薬でうがいしているから、よりはかばかしく治りつつあるのかどうかはわからないが、効くと思っていること自体が大切なことだとは思うので。
今日の診察は、がんの告知をしてくれた、一番若い先生だった。
以前勧めてもらった半夏寫心湯がなくなったので処方して欲しい旨お話しすると、どのくらいの頻度で使用しているのか尋ねて、一ヶ月分を処方してくれた。
また、喉の様子をのぞいてみて、口腔内の乾燥度合いも尋ねてくれて、必要なら口腔保湿剤も処方できるので、と教えてくれた。
とりえあず次回の予約はせずに、一ヶ月後をめどに、また予約を取って診せに来てください、ということになった。
味覚に関しては、かなり回復してきた気はするが、甘味の感覚の回復が鈍くて、舌先でほんのり感じることもあるような気がするが、すぐに、感覚が麻痺してしまうような感じ。
放射線治療に伴って、甘味の感覚が一番最初にだめになったような気がするけれども、回復も一番最後になるのかもしれない。

かかりつけの歯医者

40代後半になってから、歯周病や知覚過敏の症状で、幼なじみがやっている近所の歯医者さんにずっとお世話になっていて、3カ月または1カ月おきに治療に通っていた。
入院中は、病院に付属している歯医者さんが、口内炎の状況や歯や歯ぐきの状況を診てくれていて、退院時に、紹介状を書いてくれて、かかりつけの歯医者さんに渡すように言われていたので、今日はそれを持参した。
いつもはひょうきんな幼なじみも、さすがにちょっと深刻な表情で紹介状を読んでいたけれども、状況はわかってくれたらしく、いつも歯垢や歯石の除去をしてくれる歯科衛生士の人に、下あごの歯ぐきの状況確認とクリーニングの指示を出してくれていた。
入院前は、かなり気をつけて歯磨きをしていたけれども、さすがに入院時は気力が低下気味で、歯磨きも最低限のところしかやっていなかったので、状況が悪化しているのではないかと心配だったが、歯ぐきの状態が悪くなっているということもなく、クリーニングをして、虫歯予防のためにフッ素を塗布していけば大丈夫だろう、とのことだった。
今回入院して、比較的口内炎が軽かった(とは言うものの、けっこうなダメージだったけれども)のには、こまめな歯磨きやうがいだけではなく、それ以前に、定期的に歯医者さんに診てもらって歯周病などがほとんどない状態だった、というのも要因としてあるかもしれない。

口腔内の細菌の数が少ないほど、口内炎などになりにくいらしいので、歯の状況を定期的に歯医者さんで確認してもらう、というのも大切なことだろうと思う。

何とか食べられるご飯まとめ

最近、やっと、塩味と酸味の感覚がもどってきたようだが、甘味がまだ弱いので、オムレツのようなものを作ってトマトケチャップをかけても、いまいちファーストフード的なおいしさがない。
また、トマト類は、まだ完全には治りきっていないかもしれない喉にしみたりもする。

ただ、退院当初に比べれば、かなり食事も楽になってきている。
そこで、忘れないうちに、退院当初の、

  • 唾液が出ていなくて、
  • 味がわからない、

という状態で食べていた食事をまとめてみた。

まず、唾液が少ない状態をなんとかしないと、ご飯やパンを飲み込むことが出来ない。
ある程度唾液が出ている状態なら、お粥(全粥)という手段もあるが、もっと唾液が出ない状態(たとえば、自分の場合は、放射線科のお医者さんのシミュレーションに依れば、放射線治療前の30%程度しか唾液が出ていない状態)だと、全粥すらねばねばして飲み込むのが難しかった。
五分粥など、もっと水分量を増やした粥にすると、今度は、せっかく食べてもカロリーが低すぎて、1日に必要なカロリーを食事で摂取することが困難で、結果的に体力を落としてしまうことになる。
結局、自分は、入院中、ある程度唾液が出なくなってからは、カロリーのことを考えて、全粥ではなく、普通のご飯に味噌汁や白湯をかけて、お茶漬けのような状態でご飯を食べていた。

退院して、自宅で療養を開始した時には、喉も痛いし、味覚もまったくなく、何を食べても、それこそ水を飲んでも塩辛くしか感じないような状態で、かつ、絶えず水を口に含んでいないと喉がからからに渇いてしまうくらい唾液が出ていない状態だった。

その状態で、カロリーを確保しつつ、タンパク質やビタミン類、食物繊維なども確保するために食べていたのは、味をつける前に取り置いてもらったおかずと、卵かけご飯だった。
卵かけご飯は、お茶漬けほどシャバシャバしていないので、水分でお腹が張る、というようなこともなく、かつ、米粒そのものは卵のおかげでけっこうすんなりと飲み込むことができて、かつ、タンパク質も十分取ることができる、という優れもの。
さすがに毎食味がないままの卵かけご飯を食べていると飽きが来るので、少し大きめのお茶碗一杯分の卵かけご飯のうち、最初はそのままで、味に飽きてきたら、刻み海苔をかけて、香りに変化をつけて食べるようにしていた。

退院後2週間から3週間ほどたつと、何を食べても塩辛い状態は改善されてくるので、おかずは家族とほぼ同じものを食べられるようになった。
ただし、のどにしみるトマト系の味付けやコショウなどの香辛料を使う場合は、それよりも前に取り置いてもらっていた。
ご飯は、食べやすい卵かけご飯。